◆アセナピンの研究を調査
研究班は、過去に報告された研究から、統合失調症または類似の状態にある成人患者に対してアセナピンの効果を調べたものを集めました。
見つかった研究からデータを取り出し、評価に適したものをまとめました。
◆いくらかの効果あり
次の結果が得られました。
結果として、アセナピンを使用した人に、短期的に、臨床的に重要な変化が全体的状態(1件のRCT、336人、リスク比0.81、95%信頼区間0.68-0.97、低い質のエビデンス)、精神状態(1件のRCT、336人、リスク比0.72、95%信頼区間0.59-0.86、非常に低い質のエビデンス)について見られた。
アセナピンを使用した人は、中期的に深刻な有害作用の頻度が有意に低かった(1件のRCT、386人、リスク比0.29、95%信頼区間0.14-0.63、非常に低い質のエビデンス)。アセナピンと偽薬の間で、短期的に何らかの理由で研究介入を中止した人の数に明らかな差はなかった(5件のRCT、1,046人、リスク比0.91、95%信頼区間0.80-1.04、非常に低い質のエビデンス)。
アセナピンを使った人に、全体的状態、精神状態に対していくらかの効果があると見られました。副作用によって治療中止となる人が増えるという明らかな結果は見られませんでした。
日本ではアセナピンマレイン酸塩が2016年2月に承認了承されています。今後どんな役割が期待されるかは、この結果がひとつの参考になるかもしれません。
執筆者
Asenapine versus placebo for schizophrenia.
Cochrane Database Syst Rev. 2015 Nov 24.
[PMID: 26599405]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。