◆623人の統合失調症患者の治療効果を調査
統合失調症の急性悪化を経験したことのある18歳から70歳の患者623人を研究対象としました。対象者は、それぞれ均等に3グループに分けました。
各グループの対象者には、以下の治療法を12週間続けてもらいました。
- 441mgのアリピプラゾールラウロキシルを月に1回注射
- 882mgのアリピプラゾールラウロキシルを月に1回注射
- 統合失調症に効果を持たない薬(プラセボ)を月に1回注射
治療前から治療開始85日後での効果を点数化して比較することで、アリピプラゾールラウロキシルの有効性・安全性を調査しました。
◆アリピプラゾールラウロキシルは統合失調症を改善させた
調査の結果、以下のことが分かりました。
PANSSトータルスコア(平均値±標準誤差[SE])は、プラセボ群で調整して441mgアリピプラゾールラウロキシル群と882mgアリピプラゾールラウロキシル群では85日間でベースラインから有意に改善した(441mg群:-10.9±1.8(P<0.001)、882mg群:-11.9±1.8(P<0.001))。
つまり、アリピプラゾールラウロキシルによって、どちらの用量でも、統合失調症の症状が改善されました。
安全性について、以下のことが分かりました。
最も一般的な治療において見られた有害事象は、不眠、静止不能、頭痛、不安だった。
つまり、副作用と考えられる症状は見られたものの、主に不眠、静止不能(じっとしていられない)などでした。
この調査から、アリピプラゾールラウロキシルは、統合失調症の急性悪化を経験したことのある患者に対して効果的であることが示唆されました。患者の症状や飲み合わせの薬などを考慮することで、今後、日本でも統合失調症治療薬の選択肢になるときが来るかもしれません。
執筆者
A randamized, double-blind, placebo-controlled trial of aripiprazole lauroxil in acute exacerbation of schizophrenia.
J Clin Psychiatry. 2015 Aug
[PMID: 26114240]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。