2016.02.24 | ニュース

薬が効かないうつ状態は、認知行動療法でよくなるか?

イギリスの臨床試験の追跡調査

from The lancet. Psychiatry

薬が効かないうつ状態は、認知行動療法でよくなるか?の写真

認知行動療法(ものの受け取り方や考え方に働きかけて気持ちを楽にする心理療法の1つ)は、うつ状態の治療に使われます。効果はどれぐらい期待できるのでしょうか?治療を受けた人を長期間追跡し、3~5年の有効性を調べました。

◆イギリスの73施設で実施

6週間以上抗うつ薬を服用してもうつ症状が続いている18歳~75歳の患者を対象にしました。これらの患者をランダムに、通常の薬物治療のグループまたは通常治療に加えて認知行動療法を受けるグループの2つに分けました。治療期間後に、追跡調査に協力してくれる患者のデータを得ました。追跡調査は3~5年行われました。

 

◆認知行動療法の長期的有効性

臨床試験に参加した469人のうち248人が長期追跡アンケートに回答し、うつ症状をスコア(0~63;数字が小さい方が軽い)で表した自己評価が得られました。追跡調査では、薬物療法と認知行動療法グループの平均スコアが19.2であったのに対し、通常の薬物療法グループの平均スコアは23.4でした。

この結果では、薬物療法と認知行動療法の組み合わせは、薬物療法で効果がなかった患者で長期的に有効であったということになります。

 

薬物療法でなかなか治らずに治療が長引いている場合、認知行動療法を取り入れることを考慮するのも良い案だと思われます。

 

執筆者

後藤由佳利

参考文献

Long-term effectiveness and cost-effectiveness of cognitive behavioural therapy as an adjunct to pharmacotherapy for treatment-resistant depression in primary care: follow-up of the CoBalT randomised controlled trial.

Lancet. 2016 Feb.

[PMID: 26777773]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

▲ ページトップに戻る