2016.02.12 | ニュース

肺・消化管の進行非機能性神経内分泌腫瘍にエベロリムスは有効か?

302人の治療で検証

from Lancet (London, England)

肺・消化管の進行非機能性神経内分泌腫瘍にエベロリムスは有効か?の写真

非機能性神経内分泌腫瘍は症状がないことが多く、発見されたときには進行していて手術もできないことがあります。抗がん剤のエベロリムスを使って肺または消化管(胃や腸など)の非機能性神経内分泌腫瘍を治療する研究が行われました。

◆エベロリムスで死亡・進行を防げるか?

エベロリムスは膵臓の神経内分泌腫瘍に使われています。この研究では、肺または消化管の神経内分泌腫瘍(進行、高分化型、非機能性)の治療にエベロリムスを使いました。

成人患者302人が対象となりました。対象者はランダムに、エベロリムスを使うグループと、使わないグループに分けられました。治療の結果、神経内分泌腫瘍がさらに進行することなく生存できた期間(無増悪生存期間)を比較されました。

 

◆進行または死亡が減少

次の結果が得られました。

無増悪生存期間の中央値はエベロリムス群で11.0か月(95%信頼区間9.2-13.3)、偽薬群で3.9か月(3.6-7.4)だった。

グレード3または4の薬剤関連有害事象は多くなく、口内炎(エベロリムス群で202人中18人、9% vs 偽薬群で98人中0)、下痢(15人、7% vs 2人、2%)、感染症(14人、7% vs 0)、貧血(8人、4% vs 1人、1%)、疲労(7人、3% vs 1人、1%)、高血糖(7人、3% vs 0)があった。

進行なく生存できた期間を中央値(順位で中央にあたる値)で比較すると、エベロリムスを使ったグループで中央値11.0か月、使わなかったグループでは中央値3.9か月でした。

副作用と見られる重要な事態として、口内炎、下痢、感染症、貧血、疲労、血糖値の上昇がありました。

 

エベロリムスは膵臓の神経内分泌腫瘍のほかにも、いくつかの場面についてすでに承認されています。また、ほかの種類のがんに使うことも模索されています。そうした試みの中から、さらに新しい使い方が見つかってくるかもしれません。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Everolimus for the treatment of advanced, non-functional neuroendocrine tumours of the lung or gastrointestinal tract (RADIANT-4): a randomised, placebo-controlled, phase 3 study.

Lancet. 2015 Dec 15. [Epub ahead of print]

[PMID: 26703889]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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