2016.02.04 | ニュース

白血病の治療薬アイクルシグ®、「94%」達成の反面に副作用も

臨床試験の結果から

from The Lancet. Haematology

白血病の治療薬アイクルシグ®、「94%」達成の反面に副作用もの写真

慢性骨髄性白血病は、血液を作る元となる幹細胞自体ががんになってしまう病気です。抗がん剤療法などで治療します。ここでは、慢性骨髄性白血病で最初に使用する薬について調べられました。

発症から6カ月未満の慢性骨髄性白血病患者に、1日1回ポナチニブ(商品名アイクルシグ®)を飲んでもらいました。2013年7月25日以前に登録した患者43人はポナチニブ45mgを飲みました。しかし、副作用などが出たため、それ以降に登録された患者8人は30mgを飲みました。

ポナチニブの副作用と疑われた特に重要なものに、血の塊が脳などの血管に詰まってしまう血栓塞栓症があります。

その後、FDA(米国食品医薬品局)から、警告を受けて、すべての患者が血の塊を防ぐアスピリンを飲み、ポナチニブの用量を1日30㎎または15㎎に減量しました。

結果を確かめることができた患者46人中43人(94%)は、6カ月時点で異常な白血病細胞が見つからない状態を達成しました

 

ポナチニブには、多くの副作用も認められました。

最も頻発した毒性は、皮膚関連症状(35人;69%)およびリパーゼの上昇(32人;63%)であった。心血管イベント(主に高血圧)は25人(49%)に生じた。グレード3~4の骨髄抑制は15人(29%)の患者に生じた。患者5人(10%)は、脳血管疾患または血管閉塞性疾患を発症した。患者43人(85%)が試験中いずれかの時点で治療を中断し、45人(88%)が減量を必要とした。2014年6月18日、ポナチニブには血栓塞栓症のリスク増加が懸念されるため、FDAの勧告を受け、試験を中止した。

副作用の可能性があると見られたことには、皮膚関連の症状、血液検査の異常値、高血圧、骨髄で白血球などが作られる働きの低下、脳血管または血管の詰まりなどが認められました。43人が治療を中断し、45人で用量を減らしました。

しかし、この試験は、ポナチニブのせいで血栓塞栓症のリスクが高まるとの懸念から、FDA(米国食品医薬品局)から中止勧告を受け、中止されました。

 

ポナチニブはまだ日本では承認されていません(2016年1月時点)。現在承認申請中のため、今後、日本でも慢性骨髄性白血病の新薬となる可能性がありますが、実際に使われる場面では副作用についての情報も重要になるかもしれません。

 

ポナチニブを有効成分とする製剤のアイクルシグ®は2016年9月9日に日本での承認の可否を審議される予定です。

 

アイクルシグ®は9月28日に「前治療薬に抵抗性または不耐容の慢性骨髄性白血病」「再発又は難治性のフィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病」を効能・効果として承認されました。

執筆者

後藤由佳利

参考文献

Ponatinib as first-line treatment for patients with chronic myeloid leukaemia in chronic phase: a phase 2 study.

Lancet Haematol. 2015 Sep 1.

 

[PMID: 26436130]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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