◆データから26か条の推奨を作成
研究班は、これまでの研究報告を収集して、データをもとに、勧められると判断された内容をガイドラインとしてまとめました。26か条の推奨事項が作られました。
◆認知症に効くサプリはない
26か条のうちでは、主に次のことが推奨されています。
単一の栄養素の補充は、欠乏の徴候がない限り推奨されない。経口栄養補充は栄養状態を改善するために推奨されるが、認知機能障害を改善するためや、認知機能低下を防ぐためではない。
不足していると見られたもの以外、栄養素をサプリメントから摂ることは勧められないとされました。サプリメントは、認知症がある人では栄養状態の悪化により体重減少などに陥りやすいことに対して、栄養状態を改善するためには勧められるとされた一方で、認知症を改善したり予防する効果は確かめられていないことが明記されました。
ビタミンB1、ビタミンB6、ビタミンB12、葉酸、ビタミンE、セレン、銅、ビタミンDのサプリメントについて、支持しない旨が記されています。
特に比較的信頼度の高いデータがあり、今後の研究でも結論が変わる可能性が小さいこととして、「認知症がある人に、認知機能障害を改善したり悪化を予防する目的でω-3脂肪酸を補充することは勧めない」、また「重症の認知症がある患者には経管栄養を始めないことを勧める」とされました。
認知症とサプリメントの関係について、最近も多くの研究が行われていますが、このガイドラインで支持できると判断されたものはありませんでした。今後新しく有効な物質が発見される可能性もありますが、このガイドラインは現状のとらえ方として、情報を読み解くための参考にできるかもしれません。
執筆者
ESPEN guidelines on nutrition in dementia.
Clin Nutr. 2015 Sep 25 [Epub ahead of print]
[PMID: 26522922]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。