糖尿病の薬はやめられる?厳しいダイエットで検証

2型糖尿病の治療には食事や運動が大きく関わります。過体重や肥満の人を対象に、体重を減らすプログラムによって糖尿病治療薬が必要ない水準まで到達できるかが試されました。
BMI27-45で2型糖尿病の診断が6年以内の人の治療
イギリスの研究班が、2型糖尿病のある人に対して体重を減らすプログラムの効果を調べ、結果を医学誌『Lancet』に報告しました。
この研究の対象者は以下の基準で選ばれました。
- 20歳から65歳
- 最近6年以内に2型糖尿病と診断された
BMI (体重[kg]÷身長[m]÷身長[m])は27を超えるインスリン を使用していない- HbA1cが12%未満
BMIは25以上で過体重、30以上で肥満とされます。つまりBMIが27を超える対象者の全員が過体重の基準を上回っていたと言えます。
HbA1cは最近1か月から2か月程度の
49施設が研究に参加しました。合計302人の参加者が、施設を単位としてランダムに2グループに分けられました。
- 体重管理プログラム:糖尿病治療薬と高血圧治療薬を中止し、3か月から5か月にわたって食事全体の管理で1日あたり食事量を825-853kcalとし、その後2週間から8週間かけて段階的に食事を標準的なものにしたうえ、万歩計を持ってできるだけ歩くようにする
- 通常のケア:糖尿病と体重の管理を続ける
効果判定には参加時と12か月後を比べて、次の2点がそれぞれ達成されたかどうかを基準にすると決められました。
体重管理プログラムで46%が糖尿病寛解
研究参加時に、体重管理プログラムのグループでは平均年齢が52.9歳、平均BMIが35.1でした。通常のケアのグループでは平均年齢が55.9歳、平均BMIが34.2でした。
12か月時点で、15kg以上体重が減っていた人は、体重管理プログラムに割り当てられたグループでは36人(24%)いましたが、通常のケアのグループでは1人もいませんでした。
糖尿病寛解の基準を満たした人は、体重管理プログラムのグループで68人(46%)、通常のケアのグループでは6人(4%)でした。
どちらの目標についても、体重管理プログラムのグループのほうが目標に到達する割合が大きいと見られました。
体重管理プログラムのグループのうち1人に胆石症と腹痛が起こり、治療と関係している可能性があると見られました。
事故などにより研究から離脱した人はいませんでした。
糖尿病の薬をやめられる?
2型糖尿病と診断されて6年以内、HbA1cが12%未満で、過体重や肥満がある人に対する、厳しい体重管理プログラムの研究を紹介しました。厳しいプログラムを1年続けると半数近くの人が薬の要らない状態になっていました。
薬には副作用もあるので、薬を使い続けなくていい状態になれば大きな価値があります。ただし、厳しい食事制限によって栄養が偏ることや、急な運動で負傷したり糖尿病網膜症の悪化を来したりすることには注意が必要な面もあります。やってみる前に主治医に相談しておくことも大切です。
厳しい体重管理を続けるのは大変ですが、それでもやろうと思える人にとって、目に見える結果が出た例は気持ちを後押ししてくれるのではないでしょうか。
執筆者
Primary care-led weight management for remission of type 2 diabetes (DiRECT): an open-label, cluster-randomised trial.
Lancet. 2017 Dec 5.
[PMID: 29221645 ]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。