中等教育も関係?インフルエンザワクチンを打つ人と打たない人

インフルエンザワクチンの効果はたくさんのデータから示されていますが、打ちたくない人もいます。アンケート調査から、ワクチンの副作用が怖いと思う人は打っている割合が低いなどの結果が報告されました。
打った人・打たなかった人の背景は?
中国の研究班が、インフルエンザワクチンについての聞き取り調査の結果を専門誌『BMJ Open』に報告しました。
この調査は、2014/15年シーズンのインフルエンザワクチンを打ったかどうかを、学歴やワクチンについての考えなどとともに質問したものです。調査は北京で2015年の5月から6か月にかけて行われ、18歳以上の人7,106人が対象となりました。
中国の多くの地域では、インフルエンザワクチンがあまり使われていません。北京では2007年以後、60歳以上の人と小中学生はインフルエンザワクチンを無料で打てます。
専門家の勧め、副作用
回答者のうち2014/15年シーズンのインフルエンザワクチンを打っていた人は全体で20.6%でした。
59歳以下では5,726人のうちワクチンを打っていた人は933人でした。60歳以上では1,362人のうち672人がワクチンを打っていました。
統計解析の結果、年齢によらず以下のいずれかに当てはまる人では当てはまらない人よりもインフルエンザワクチンを打っていた割合が高くなっていました。
- 最終学歴が小学校以下
- 慢性の病気にかかっている
- 医療従事者から打つよう勧められた
- ワクチンの副作用は怖いと思わない
「ワクチンはインフルエンザ
教育水準が低い人のほうが多くワクチンを打っていた点について、研究班は考察の中で、逆の方向の報告が多いことを前提に、最近の放送メディアやインターネットがワクチンの副作用を強調して伝えていることなどを指摘しています。
結論として研究班は「将来の予防接種キャンペーンは専門家が勧めることと市民の認識の向上を狙って実行されるべきである」と記しています。
副作用情報の影響とは?
インフルエンザワクチンを打ったかどうかとその背景についての調査を紹介しました。
副作用が気になって予防接種をためらっている人は日本でも多いかもしれません。もし考察のようにメディアが影響しているなら、感染症予防の中でメディアが担う役割は無視できません。副作用の報道が人の行動に影響することに対して責任のある情報発信が求められます。
執筆者
Factors associated with the uptake of seasonal influenza vaccination in older and younger adults: a large, population-based survey in Beijing, China.
BMJ Open. 2017 Sep 25.
[PMID: 28951412]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。