2017.07.03 | PR

自己負担が減るだけじゃない、ジェネリック医薬品の医療費への貢献とは?

「ジェネリック」って何? 安い価格にはちゃんと理由がある
自己負担が減るだけじゃない、ジェネリック医薬品の医療費への貢献とは?の写真
(C) zhudifeng - iStock

元々"ジェネリック"とは"一般的な"という意味をあらわします。医薬品の名称には主薬の成分名(一般名)と、それとは別の商品名があります。

消炎鎮痛薬のロキソニン®(製造販売元:第一三共株式会社)であれば、商品名が「ロキソニン」、成分名がロキソプロフェンナトリウム(ロキソプロフェンナトリウム水和物)となります。

対してジェネリック医薬品では例として、ロキソプロフェンNa「サワイ」(販売元:沢井製薬株式会社)やロキソプロフェンNa「トーワ」(製造販売元:東和医薬品株式会社)などのように一般名を含む名称になっています。欧米では処方せんへの医薬品の記載が一般名で書かれることが多く、ジェネリック医薬品自体の普及率も高くなっている背景などもあり、"一般的な"という意味の"ジェネリック"という言葉で呼ばれています。日本においては一部、独自の商品名をもつジェネリック医薬品も存在しますが、平成17年の9月に厚生労働省からジェネリック医薬品の販売名に関する通知が出され、製造販売会社名が明確に判別できるようにした上で、原則として、含有する有効成分に関わる一般的名称を基本とした販売名が付けられています。

平成17年9月22日薬食審査発第0922001号 厚生労働省医薬食品局審査管理課長通知「医療用後発医薬品の承認申請にあたっての販売名の命名に関する留意事項について」

 

医薬品の新薬が販売されるまでには通常は長い開発期間と莫大な開発費がかかります(一般的に、一つの新薬を開発するのにかかる費用は200〜300億円に達するとされています)。

その後、効果が認められ医薬品としての承認を受けて世に出るわけですがその際、薬の製造・販売などに対して特許が与えられます。新薬を開発した製薬会社は、特許により薬を独占的に販売できることになります。このとき、薬の値段(薬価)は開発費を回収できるように計算して決められます。(薬価に関しては「薬価って何?」の章でも解説しています。)

薬の特許の期間は無限ではなく、20〜25年で切れてしまいます。これにより、他の製薬会社は特許が切れた薬を販売することができます。すでに臨床で使われていて実績がある成分を作るので、開発期間やコストがかなり抑えられ、比較的安価で薬を販売できます。開発にかかる期間は一般的に、新薬で9〜17年程、ジェネリック医薬品で3〜4年程とされ、この期間が短い分と研究開発費などの費用が少なくなる分で薬の価格を安くすることができるのです。

 

図表提供:日本ジェネリック製薬協会「知っ得!ジェネリック!」

 

こうして特許が切れた後に開発された薬は「ジェネリック医薬品」として世に出て、欧米では語源の通り、このジェネリック医薬品が一般的に広く流通しています。

日本では新薬として先行して販売されている薬を先発医薬品、特許が切れた後に販売された薬を後発医薬品などの呼び名で扱ってきましたが、国際化や医療費高騰の問題などから、近年は後発医薬品をジェネリック医薬品として世間に浸透させていく動きが活発になってきています。

 

薬価とは保険医療に使用できる薬の価格(値段)であり、国(厚生労働省)によって「薬価基準」と呼ばれる価格表に掲載されています。薬価基準とは「保険医療に使用できる医薬品の品目とその価格を厚生労働大臣が定めたもの」であり、健康保険や国民健康保険などの医療保険制度で共通のものになります。病院や診療所、保険薬局といった保険医療機関等が保険請求を行う場合、薬の料金である薬剤料はこの薬価基準で定められている価格に基づいて算定されます。

ちなみに病院や診療所などから医師の処方に基づいて使用される薬を医療用医薬品(処方薬)と呼びますが、医療用医薬品の中には薬価基準に未収載の薬(薬価が設定されていない薬)があり、例えば自由診療の薬(健康保険の給付対象外の薬)があります。薬価基準未収載の医薬品の例としては、AGA男性型脱毛症)治療薬であるフィナステリド(主な商品名:プロペシア®)などがあります。

 

薬価基準に収載されている薬の価格は原則として、市場実勢価格に基づき2年に1回改定されます。詳しくは割愛しますが、薬価調査と呼ばれる市場価格調査が実施され、この調査は統計法に基づき総務省の承認が必要な一般統計調査になっています。

この調査によって薬の価格が見直され、一部の薬を除いて多くの薬の価格はこの2年に1回の改定によって値段が徐々に引き下げられていきます。(いくつかの理由によって例外的に2年に1回のタイミングを待たずに薬価が改定されるケースもあります)

 

日本においても認知度が徐々に上がってきたジェネリック医薬品ですが、欧米に比べるとその使用量はまだ少ないのが現状です。これには様々な要因があるとされています。

ジェネリック医薬品は先発医薬品と臨床上の有効性や安全性は同等な医薬品ですが、100%瓜二つというわけではありません。例えば主な成分は同じでも、使用されている添加物が異なる場合があります。通常、日本で使用される医薬品添加物は「医薬品添加物事典」に収載されているもので、かつこの事典に収載されている投与経路、最大使用量の範囲内のものです。先発医薬品もジェネリック医薬品もこの枠の中での医薬品添加物を使用しています。もちろん、添加物が異なればその添加物が体質に合わないなどの可能性もゼロではありません。これに対して、近年に発売されたジェネリック医薬品は、先発医薬品と同様の添加物や製法などを用いるものなどの工夫を行ったものも出てきています。

この他、先発品の薬の大きさが比較的大きくてやや飲みづらい薬をジェネリック医薬品では小さくしたり、コーティングなどにより苦味を少なくしたり多くの人が好む味を添加するなど、患者目線での改良・工夫が施されている場合もあります。もちろん先発医薬品が薬の飲みやすさや味などに対して工夫を施してないわけではないのですが、元々すでにある先発医薬品に対してより服薬のしやすさなどを考慮したジェネリック医薬品が発売されていることもあります。ジェネリック医薬品はただ安いだけでなく、独自の品質を目指して作られているものもあるのです。

 

先発医薬品 ジェネリック医薬品 ジェネリック医薬品で
考えられるメリット
抗血小板薬P
剤形:錠剤
抗血小板薬Pの
ジェネリック医薬品「A」
剤形:ゼリー剤
嚥下障害のある患者や高齢で嚥下力の衰えた患者等に服用しやすく、誤飲や誤嚥に対して配慮(味はアプリコット風味)

抗菌薬S
剤形:カプセル剤

抗菌薬Sの
ジェネリック薬品「B」
剤形:錠剤
カプセル剤が飲みにくいという患者等へ配慮

睡眠導入剤M
剤形:錠剤

睡眠導入剤Mの
ジェネリック医薬品「C」
剤形:OD錠(口腔内崩壊錠

口腔内崩壊錠にすることで服用の際、水分摂取を不要とし、夜間の尿意への不安や立ち歩いた時の転倒の危険などに対して配慮

 

ジェネリック医薬品の改良・工夫事例

図表提供:日本ジェネリック製薬協会「知っ得!ジェネリック!」

 

質の向上があってもなおジェネリック医薬品の普及を妨げているのは、"安い薬"という面へのマイナスなイメージなのかもしれません。(ジェネリック医薬品の中には医療機関での負担金額において先発医薬品との差が生じないものも一部存在します)

日常の生活用品などでは値段が安い→品質が劣る(?)…という感覚に陥りがちですが、ことジェネリック医薬品に関しては前述の通り、安くできる理由がしっかりと存在します。また日本の品質基準、特に医薬品の品質基準は世界でも非常に高いレベルにあるとされ、ジェネリックに関しても(特に1990年代後半からの)厚生労働省によるガイドラインの制定(例:「後発医薬品の生物学的同等性試験ガイドライン」)などにより、先発医薬品との有効性や安全性が同等であることが担保されています。

ジェネリック医薬品が進歩を遂げる一方で、先発医薬品においてもジェネリック医薬品にはない新たな適応症(薬事承認された効能・効果等)の取得に努めるなど有効性や利便性などを向上させようとする動きがあります。これらは治療の選択肢を増やすなど、患者へのメリットにつながる可能性があります。
ジェネリック医薬品の普及が良い意味での医薬品における競争を生みだしているとも言えます。少子高齢化へとひた走り、医療費高騰という大きな課題を抱える日本において、ジェネリック医薬品が更に一般的になる日もそう遠くはないのかもしれません。

 

日本の人口が今後減少傾向にあることは多くの人が周知の話題となっている一方、医療費などの社会保障費はふくらみ、国は財源の確保という難題を抱えています。

中でも少子高齢化が進む日本の医療費は年々増加し、平成26年度には40兆8千億円を超え(40兆8,071億円;平成26年度「国民医療費の概況」厚生労働省より)、今後も増加傾向にあるとされています。(これを裏付けるように平成27年度の医療費は41.5兆円と発表されています)

仮にジェネリック医薬品のシェア(数量シェア)が80%以上になった場合、これによる薬剤費削減効果は1.3兆円ともいわれています。

日本では国民皆保険制度(国民全員を公的医療保険で保証する制度)により、医療機関の窓口での負担割合は通常、成人であれば30%(高齢者や小児、特定疾患有病者などで30%より少ない場合や自由診療による全額負担の場合など負担額が変わるケースもある)であり、比較的安価な薬剤であれば1回で生じる先発医薬品とジェネリック医薬品の窓口負担額の差が数十円程であることも決して珍しくはありません。しかし、窓口負担以外の医療費は私たちの納めている保険料や税金によって賄われています。(ちなみに国が発表している財源別国民医療費においては平成26年度の国民医療費40兆8千億円における患者負担の占める金額は約5兆円です。)

健康保険を利用した際、実際に窓口で支払う金額が少ない金額だったとしても、実際にはその数倍の金額が国の予算から捻出されています。特に高血圧や糖尿病などのように比較的長期に渡り治療を続ける必要がある病気の薬の場合「塵も積もれば・・・」ではないですが金額も積み重なり、個人としての負担も国の負担も増えていきます。また、治療にかかる金額が増えれば場合によっては医療機関への受診そのものをためらうケースも出てくる可能性もあります。もちろん治療に関してはその有効性が最も重要視されるところではありますが、比較的長期に渡る治療において同等の効果が得られて少しでもコストが抑えられる選択肢があれば、患者本人が積極的に治療に参加しやすい環境を作ることにもつながると考えられます。(こちらのニュースではジェネリック医薬品に変更した場合の服薬遵守率が改善する可能性に関して紹介しています。https://medley.life/news/5575ac1bac1a360f019d183a/

 

平成26年度の国民医療費40兆8千億円のうち患者負担の占める金額は約5兆円

 

また感冒(風邪)など比較的短期間で治癒が可能となる病気であったとしても、何回か医療機関を受診しその都度、薬が処方されれば負担する金額は積み重なります。ちなみに経済協力開発機構(OECD)のまとめでは先進国の中で日本国民1人が医師の診察を受ける回数は年10回を超え、先進国平均のほぼ2倍にもなるとされています。

少子高齢化により、今後より一層財源の確保が課題となると考えられている日本において、増え続ける医療費抑制の一手として、国民一人一人が「ジェネリック医薬品」についてしっかりと理解し必要性などを考えることは、日本社会の今後を考えることにもつながるのではないでしょうか。

なお「自分(家族)の薬がジェネリック医薬品に変更できるかどうか?」など、ジェネリック医薬品に関しては病院、クリニック、薬局などでも詳しく説明が受けられます。また「使用中の薬をジェネリック医薬品に変更するとどのくらいの差額が生じるのか?」を調べてみたい場合は、日本ジェネリック製薬協会のホームページ内にあるこちらのページ(「かんたん差額計算」)で確認することができます。

執筆者

MEDLEY編集部

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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