モバイルアプリは糖尿病の自己管理に使えるか?

スマートフォンなどのアプリを健康管理に役立てる試みは続々と現れています。方法は発展途上ですが、一定の効果があったとする報告も出てきています。糖尿病の自己管理に使うアプリについて、これまでに報告されている実績が調査されました。
糖尿病の自己管理アプリの研究状況
ここで紹介する研究は、過去の文献を集める方法で、糖尿病の自己管理に使うアプリの効果としてこれまでに報告されている内容をまとめたものです。
調査対象として、1996年から2015年6月1日までの報告で、治療法をランダムに割り当てる方法の研究を選びました。効果は検査値のHbA1c(
アプリでHbA1cが0.49%減少
14件の研究が見つかりました。参加者合計1,360人分のデータをまとめて統計解析し、次の結果が得られました。
臨床的多様性があった可能性はあるが、2型糖尿病についての研究はすべてがHbA1cの減少を報告していた。アプリを使った参加者で、対照群に比べて平均の減少量は0.49%(95%信頼区間0.30-0.68、I2=10%)であり、GRADEで中等度の証拠があった。
肥満が主な原因の2型糖尿病については、アプリでHbA1cが平均0.49%下がったというデータがありました。肥満と関係のない1型糖尿病については解析に適したデータがありませんでした。
研究班は「アプリはHbA1cのコントロールを助ける構成要素として有効であり、2型糖尿病の患者には標準的な自己管理を補助する介入と考えられる可能性がある」と結論しています。
アプリが健康に役立つ可能性
2型糖尿病の検査値がアプリで改善したというデータが見つかりました。
アプリを治療に取り入れることはまだ手探りの要素も多く、全体としてどの程度役に立つのかはまだわかりません。ただ、部分的には希望を感じさせる結果もあります。
一方で、現実には品質の低いアプリも作られています。淘汰によってより有益なものだけが残っていくのか、第三者による対策が必要とされるのかなども今後の問題になるかもしれません。
技術の進歩によって私たちの生活は変わり続けています。新しいライフスタイルにうまく合った医療技術が待ち望まれています。
執筆者
Do Mobile Phone Applications Improve Glycemic Control (HbA1c) in the Self-management of Diabetes? A Systematic Review, Meta-analysis, and GRADE of 14 Randomized Trials.
Diabetes Care. 2016 Nov.
[PMID: 27926892]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。