2016.11.02 | ニュース

妊娠初期にインフルエンザワクチンを打っても先天形態異常は増えない?

スウェーデン24万人の統計から
from Annals of internal medicine
妊娠初期にインフルエンザワクチンを打っても先天形態異常は増えない?の写真
(C) Monet - Fotolia.com

今年のインフルエンザワクチンは打ちましたか?インフルエンザワクチンは妊娠中でも妊娠の時期にかかわらず打ったほうがよいとされています。実際に打った人の統計から、安全性を確かめる研究が行われました。

スウェーデンの統計データを使った研究の結果が、医学誌『Annals of Internal Medicine』に報告されました。

この研究では、母親が妊娠中にインフルエンザワクチン(A(H1N1)単価ワクチン)を打っていたときに生まれた子ども40,983人と、母親が同じワクチンを打っていなかったときの子ども197,588人を比較して、先天性心疾患口唇口蓋裂などの先天形態異常の頻度に違いがないかを調べています。

遺伝的要因や家庭の環境により、ワクチンとは関係なく先天形態異常のリスクに影響すると予想される要素は計算上調整しました。

 

統計解析により次の結果が得られました。

先天形態異常は、非曝露児の9,443人(4.78%)、曝露児の2,037人(4.97%)に見られた。

先天形態異常は、母親が妊娠中にワクチンを打っていた子どもでは4.97%、打っていなかったときの子どもでは4.78%に見られ、統計的に差があるとは言えませんでした

妊娠初期のワクチン接種に限って見ても、統計的に差は見られませんでした。

 

妊娠中にインフルエンザワクチンを打った母親の統計から、未知の危険性は指摘されませんでした。この観点から、妊娠中も安全という結論を変える必要はなさそうです。

インフルエンザワクチンは10月に打てば翌年2月ごろまでは効果が持続します。ワクチンを打ってから体に免疫が作られるまで数週間かかるので、流行が始まる前に打ったほうが効果的と考えられます。

今年もすでに少しずつインフルエンザにかかる人が出てきています。まだ打っていない方はぜひ早めの注射を検討してください。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Risk for Congenital Malformation With H1N1 Influenza Vaccine: A Cohort Study With Sibling Analysis.

Ann Intern Med. 2016 Sep 20. [Epub ahead of print]

[PMID: 27654505]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。