肩こりで頭痛、でも胃が痛くなる薬はイヤ…アセトアミノフェンは効く?

頭全体が重く鈍く痛む緊張型頭痛は、肩こりなどが原因です。痛み止めの作用があるアセトアミノフェンは、タイレノールAなど多くの市販薬にも使われている成分です。緊張型頭痛に対する効果が、これまでに報告されたデータからまとめられました。
過去に報告された研究結果を収集
「コクラン共同計画」に、成人の緊張型頭痛に対するアセトアミノフェンの効果についての文献調査の結果が報告されました。
報告された研究は、文献データベースを参照し、別途出版されていない研究も加えることで、緊張型頭痛に対するアセトアミノフェンの効果の研究を集めました。
見つかった研究をそれぞれ評価し、統合に適したものを選んで結果をまとめました。
2時間後に無痛または軽い痛みに
調査から次の結果が得られました。
5件の研究(5,238人の参加者、高い質のエビデンス)において2時間後に無痛または軽い痛みとなっているためのNNTは10(7.9-14)だった。
アセトアミノフェン1,000mgを飲んだ人のうち10人に1人の割合で、薬を飲まないよりも多く、2時間後に痛みがないか軽い痛みになる効果があると見られました。
副作用については次の結果でした。
有害事象はアセトアミノフェン1,000mgと偽薬の間で差がなかった(リスク比1,1、0.94-1.3、5,605人の参加者、11件の研究、高い質のエビデンス)。研究で深刻な有害事象は報告されていなかった。
アセトアミノフェン1,000mgを飲んでも、有効成分のない偽薬よりも副作用が多いとは言えないという結果でした。
解釈
アセトアミノフェンが緊張型頭痛を和らげる効果が確かめられました。
ただし、ここで研究されている用量は一度に1,000mgです。日本で売られている市販薬の用量をかなり上回っています。病院で1,000mgを処方されることはあります。
頭痛に効果がある痛み止めの薬は、アセトアミノフェン以外にもあります。最もよく使われているのはNSAIDs(エヌセイズ)という種類の薬です。ロキソプロフェンナトリウム(商品名:ロキソニンSなど)、アスピリン(商品名:バファリンAなど)などはNSAIDsです。
NSAIDsには腹痛などの副作用も知られています。副作用対策としてNSAIDsに胃を守る成分を配合した薬もあります。
アセトアミノフェンは一般に、NSAIDsに比べて痛み止めの効果は若干弱い一方、副作用が少ないと言われています。ここで紹介した研究でも、副作用は偽薬と差がないという結果でした。
緊張型頭痛はとても多くの人が経験しています。仕事やストレスで肩こりが絶えず、長引く頭痛にも悩まされている人に、アセトアミノフェンは生活の助けになってくれるかもしれません。
執筆者
Paracetamol (acetaminophen) for acute treatment of episodic tension-type headache in adults.
Cochrane Database Syst Rev. 2016 Jun 16.
[PMID: 27306653]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。