糖尿病は昔の薬のほうが長生きできるかもしれない

糖尿病の薬は次々に新しく開発されています。DPP-4阻害薬は最近10年以内で普及した薬です。イギリスの大規模研究で、DPP-4阻害薬を使った人よりも、以前からあるチアゾリジン薬を使った人のほうが長生きしていたことが報告されました。
◆46万人が足掛け9年の研究
ここで紹介する研究は、イングランドで2007年から2015年にかけて行われました。対象者として、25歳から84歳の2型糖尿病患者469,688人が参加しました。
対象者は診断や治療のデータを記録され、研究期間にわたって追跡されました。
統計解析により、治療に使われた薬によって、死亡率などに違いがあるかが検討されました。
◆チアゾリジン薬のほうが死亡率が下がっている
解析から次の結果が得られました。
- DPP-4阻害薬を含む治療を受けた人は、薬を使わなかった人よりも死亡率が18%下がっていた。
- チアゾリジン薬を含む治療を受けた人は、薬を使わなかった人よりも死亡率が23%下がっていた。
チアゾリジン薬を使った人のほうが、より新しいDPP-4阻害薬を使った人よりも死亡率が大きく下がっているように見える結果でした。
なお、DPP-4阻害薬がより重症の人に処方されていたなどの可能性については、計算上で調整されています。計算されていない未知の要素が関わっている可能性はゼロではありません。
研究班は「これらの結果は[...]糖尿病治療薬の処方に示唆を与えるかもしれない」と述べています。
一般に、糖尿病の飲み薬の中では、メトホルミンが
新しい薬が全面的に優れているとは限らないことの一端が表れているのかもしれません。
執筆者
Diabetes treatments and risk of heart failure, cardiovascular disease, and all cause mortality: cohort study in primary care.
BMJ. 2016 Jul 12.
[PMID: 27413012]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。