◆糖尿病の患者さん73,738人のデータを解析
この研究では、過去に行われた研究報告からデータを集め、糖尿病の患者さん73,738人(半数が2型糖尿病)を対象とした治療の結果を解析しました。
病気や死亡のリスクを、高血圧の治療を受ける前の収縮期血圧(上の血圧)から比較しました。
◆140mmHg未満では心血管死リスクが増加
治療前の収縮期血圧が140-150mmHgで降圧治療をした場合、心筋梗塞や心不全にかかるリスク、また全体として死亡するリスクが減りました。しかし、140mmHg未満では心筋梗塞・脳卒中などにより死亡するリスクが増加し、死亡するリスクは全体として減っているとは言えませんでした。
糖尿病の患者さんにとっての血圧コントロールは140mmHgより下げすぎないほうがよいという結果でした。
日本では2014年のガイドラインによると、糖尿病で高血圧の方の降圧治療の目標値は130mmHg未満とされています。しかし、140mmHgより低い血圧の人に本当に血圧コントロールが必要かどうかは、今後改めて検証されることになるかもしれません。
執筆者
Effect of antihypertensive treatment at different blood pressure levels in patients with diabetes mellitus: systematic review and meta-analyses.
BMJ. 2016 Feb 24.
[PMID: 26920333]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。