◆アレルギー用ミルク、母乳、一般のミルクを比較
この研究では、アレルギーを起こしにくくする狙いで牛乳のたんぱく質を加水分解して分子を小さくしたミルクの効果を検討しています。
アレルギー用ミルクは、分解する牛乳のタンパク質によって
- カゼイン加水分解乳
- 乳清加水分解乳
加水分解の程度によって
- 高度分解乳
- 部分分解乳
に分けられます。
1946年~2015年に発表された、アレルギー用ミルク、母乳、一般のミルクをアレルギー発症の観点から比較した37件(赤ちゃん1,900人以上)の研究データをまとめて解析しました。
◆予防効果があるとはいえない
以下の結果が得られました。
全体として、部分または高度加水分解乳がアレルギーや自己免疫疾患リスクの高い乳児において、これらの疾患リスクを低減するという一貫したエビデンスは認められなかった。
一般調製粉乳と比べた0~4歳時の湿疹のオッズ比は、部分加水分解乳では0.84(95%信頼区間0.67-1.07、I2=30%)、高度カゼイン分解乳では0.55(0.28-1.09、I2=74%)、高度乳清分解乳では1.12(0.88-1.42、I2=0%)であった。
集まったデータからは、アレルギー用ミルクは一般のミルクと比べて、リスクの高い赤ちゃんにアレルギー予防効果をもたらすとはいえないことが示されました。
研究チームは、「今回の結果からは、リスクが高い乳児のアレルギー性疾患を予防するために加水分解乳の使用を奨める現行のガイドラインを支持できない」と結論しています。
執筆者
Hydrolysed formula and risk of allergic or autoimmune disease: systematic review and meta-analysis.
BMJ. 2016 Mar 8.
[PMID: 26956579]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。