◆負荷試験で卵アレルギーを確認
私たちは免疫という機能をもっているので、細菌やウイルスなどの異物を撃退することができます。ところが、無害なはずの食品に免疫が過剰反応し、卵や牛乳で発疹が出たり、重い場合は呼吸困難などの危険な状態になったりすることがあります。これを食物アレルギーと呼んでいます。
今回の研究では、ヨーロッパ9か国の12,049人の赤ちゃんのうち、生まれてから2歳まで追跡できた赤ちゃん9,336人について、卵アレルギーを発症する割合とその経過が検討されました。
卵アレルギーの診断のために以下の検査が行われました。
- 皮膚テスト(プリックテスト)
- 血液検査(卵に対するIgE抗体)
- 負荷試験(実際に微量の卵を食べて症状が出るか確認する、診断確定のための検査。今回の研究では、医師は赤ちゃんが何を食べたか分からない状態で判断した)
◆赤ちゃんが卵アレルギーを発症する割合は1.23%
以下の結果が得られました。
- 2歳までに卵アレルギーを発症する割合の平均値は推定1.23%
- 国別では、英国2.18%、ギリシャ0.07%と、大きな開きがあった
- 卵アレルギーの赤ちゃんの半数は、診断から1年以内に耐性を獲得して症状が出なくなった
研究チームは「[...]卵アレルギーの平均調整発生率はこれまでの報告よりもかなり低かった」と結論しています。
執筆者
参考文献
Incidence and natural history of hen's egg allergy in the first 2 years of life-the EuroPrevall birth cohort study.
Allergy. 2016 Mar.
[PMID: 26514330 ]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。