糖尿病の薬「メトホルミン」を使うとビタミンB12不足になる?

糖尿病の治療薬の1つにメトホルミンがあります。その副作用の中にはビタミンB12の吸収不良が報告されており、貧血や末梢神経障害を起こすことが考えられます。長期的にメトホルミンを使った場合の影響を調べた研究を紹介します。
◆2,155人のビタミンB12量を比較
研究チームは27カ所の研究施設における、
メトホルミンを服用したグループとプラセボを服用したグループでの
◆メトホルミンを服用するとビタミンB12量が減少する人が多かった
調査の結果、以下のことが分かりました。
低ビタミンB12(203 pg/ml以下)は、調査から5年の時点で、プラセボを服用したグループよりもメトホルミンを服用したグループでしばしば見られた(メトホルミン:4.3%、プラセボ:2.3%、P=0.02)。しかし、調査から13年の時点では差が見られなかった(メトホルミン:7.4%、プラセボ:5.4%、P=0.12)。
つまり、プラセボを服用した人と比較して、メトホルミンを長期的に服用した人では、5年後の時点でビタミンB12不足になる人が多いことが示されました。13年後の時点では差が見られませんでした。
ビタミンB12は魚類や貝類に多く含まれているため、ビタミンB12の不足が見られた場合には食生活を意識することで改善することも出来るかもしれません。また、医師や薬剤師と相談の上で治療薬を変える選択も考えられます。
メトホルミンを使うときに注意するべき点として、この結果を参考にできるかもしれません。
執筆者
Long-term Metformin Use and Vitamin B12 Deficiency in the Diabetes Prevention Program Outcomes Study.
J Clin Endocrinol Metab. 2016 Feb 22. [Epub ahead of print]
[PMID: 26900641]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。