パーキンソン病の歩行障害にはランニングマシーンが有効
パーキンソン病の代表的な症状に歩行障害がありますが、歩行障害に対して何が効果的なのかはまだ不明な部分が多くあります。今回はパーキンソン病の歩行障害に対する歩行訓練の効果を過去の研究から分析したものを紹介します。
◆パーキンソン病に対するランニングマシーンの効果は
1950年から2014年までの過去の研究を調査しました。見つかった18件の研究の内容を検討しました。これらの研究では、パーキンソン病患者の合計623名が対象となっていました。対象者のうちでランニングマシーンでの歩行訓練を行ったグループと行わなかったグループをまとめて比較することで、ランニングマシーンの歩行訓練が有効なのかを検討しました。
◆ランニングマシーンで歩行が改善
以下の結果が得られました。
トレッドミルトレーニングは、研究終了時点で歩行速度(平均差 = 0.09メートル/秒:95% 信頼区間0.03から0.14:P = 0.001:I(2) = 24%:中等度の質の根拠)、歩幅(MD = 0.05メートル:95% 信頼区間0.01から0.09:P = 0.01:I(2) = 0%:質の低い根拠)を改善させた。しかし、歩行距離(MD = 48.9メートル:95%信頼区間-1.32から99.14:P = 0.06:I(2) = 91%:とても質の低い根拠)と歩行率(MD = 2.16歩/分:95%信頼区間-0.13から4.46:P = 0.07:I(2) = 28%:質の低い根拠)は改善しなかった。
パーキンソン病患者がランニングマシーンでの歩行訓練を行った結果、歩行速度と歩幅が改善しました。しかし、歩行の距離や歩行のスムーズさは改善が見られませんでした。
パーキンソン病患者がランニングマシーンで歩行能力が改善することがわかりました。マシーンで歩行訓練する時には転倒には十分に注意しながら練習する必要があります。適切な方法で治療に取り込むことで、有益な結果が得られるかもしれません。
執筆者
Treadmill training for patients with Parkinson's disease.
Cochrane Database Syst Rev. 2015 Sep.
[PMID: 26363646]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。