◆肥満の人で睡眠と肝臓を検査
アメリカの研究班が、重度の肥満があり減量手術を受けようとしている人を対象に研究を行いました。睡眠の検査と、肝臓の組織を顕微鏡で見る検査を受けた362人が対象となりました。対象者のBMI(体重÷身長の2乗)は平均49.9と、非常に重度の肥満がありました。
睡眠の検査では、閉塞性睡眠時無呼吸(のどの奥がふさがって呼吸が止まってしまうこと)の症状の重さが調べられました。肝臓の検査では、脂肪肝の一種である非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の重症度が顕微鏡像から判定されました。
◆無呼吸症状が重い人でNAFLDも重い
次の結果が得られました。
メタボリックシンドロームのない対象者について、無呼吸低呼吸指数で評価された閉塞性睡眠時無呼吸の重症度と、低酸素血症のパラメータに、NAFLDの重症度との正の相関が見られた。
重度の肥満があってもメタボリックシンドロームの基準を満たさなかった人のうちで、無呼吸の症状が重い人ほどNAFLDの重症度も重いという関係が見られました。
無呼吸と肝臓の悪化に因果関係があるのか、それとも何か別の原因によって2種類の影響が起きているのかはこの結果だけでは区別できません。いずれにしても、この関係がほかの人にも当てはまるとすれば、無呼吸の症状があるときは肝臓にも注意するといった判断ができるかもしれません。
肥満はさまざまな面で健康に影響します。難しくならないうちに適切な体重に戻すのは大切なことですが、重度の肥満になってしまったときにどんな影響があるかを詳しく知ることで、肥満にともなう個々の問題にうまく対処する助けになるかもしれません。
執筆者
The impact of obstructive sleep apnea on nonalcoholic fatty liver disease in patients with severe obesity.
Obesity (Silver Spring). 2016 Feb 16. [Epub ahead of print]
[PMID: 26880657]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。