2016.03.26 | コラム

急性アルコール中毒の危険な症状と周囲ができる初期対応

意識がない人に対して誰でもしてあげられること
急性アルコール中毒の危険な症状と周囲ができる初期対応の写真
(C) Klaus Eppele - Fotolia.com

この記事のポイント

◆急性アルコール中毒の症状
◆急性アルコール中毒で意識が無い人への対処法
◆急性アルコール中毒かどうか?救急車を呼ぶ目安は??

様々なイベントが重なる時期は何かとお酒を口にする機会が増え、急性アルコール中毒による事故や死亡ニュースなどが報じられます。急性アルコール中毒はどのような症状が出るのでしょうか?危険なサインと知っておきたい初期対応、救急車を呼ぶ目安について解説します。

急性アルコール中毒では、血液中のアルコール濃度が上がることで様々な症状が出ます。アルコール濃度ごとの症状には、次のようなものがあります。

  • 0.1%未満:気分が良くなる、ふらつく
  • 0.1-0.2%:判断力が低下する、情緒不安定になる(泣き上戸、笑い上戸)
  • 0.2-0.3%:ろれつが回らなくなる、歩行が困難になる
  • 0.3-0.4%:意識障害が出始める、失禁する、呼吸が弱く不定期になることがある
  • 0.4%以上:強い痛みにも反応しない昏睡状態になる、呼吸が止まることがある

この症状の中でも、どこからが急性アルコール中毒で、どこまでがただの酔いかという明確な区分があるわけではありません。皆さんもご経験があるかと思いますが、1杯のビールでふらついてしまう方もいれば、日本酒を2-3合飲んでもへっちゃらな方もいます。体内でアルコールを分解する酵素の量は遺伝的に決まっているのですが、日本人では遺伝的に弱い方がとても多いです。後天的に「訓練」される方も確かにいるのですが、元々生まれもった差を補えるほどのことはなかなかありません。
 

アルコールで気持ちが悪くなって横になる人は、よく周囲にいらっしゃると思います。そのくらいであれば様子を見ていて大丈夫なのでしょうが、「そのまま寝てしまった」、「呼んでもゆすっても反応がなく、寝てるんだか意識がないんだか分からない」といった状況は特に心配で不安になるのではないでしょうか。

急性アルコール中毒で最も気をつけなければならないのは、知らないうちに嘔吐をして窒息してしまうことです。嘔吐を完全に防ぐのは難しいですが、嘔吐をしても窒息しないような姿勢で休んでおいてもらうことは可能です。

回復体位といって、寝てしまった本人に図のような姿勢を取らせます。


 

回復体位をとっていたとしても、目が覚めず反応がないままだと、やはり周囲の方は不安だと思います。その時にまず確認して頂ければと思うのが呼吸の有無です。

酔って寝ている方は、よく観察しないと呼吸が分かりにくいことがあります。そのようなときでも本人の口元に耳を当てると「スー・・・スー・・・」と寝息を立てていることが確認できます。周囲がうるさければ、胸や背中に両手を当てると定期的な胸の動きが確認できるでしょう。また、「ガー、ガー」といびきをかいている時には、頭を後ろに反らせる姿勢を取ることで、のどが開いて呼吸がしやすくなります。アルコールは全身の筋肉を脱力させる作用があるので、舌の筋肉が緩んでのどを狭くするために、いびきが生じやすくなります。

上記を確認しても呼吸の有無が判断できない場合、そして、嘔吐をしてむせ込んでいる(誤嚥している)が、その後も反応がなく意識がはっきりしない場合には危険なサインです。このような場合は、救急車を呼ぶことをお勧めします。そこまでではなくとも、判断がつかず対応に迷った場合には、東京都、大阪府、奈良県ならば、「#」→「7119」に電話をすると、24時間体制で医療者が窓口になって電話で対応してくれます。他の地方自治体でも、各地で同様の窓口を設けている都道府県があります。

「お酒は危険」と言うのは簡単なのですが、適度のお酒によってコミュニケーションがはかどることもあるでしょう。危険なサインと、その時の対処法を知っておくことで、より安全にお酒を楽しむことができるのではないでしょうか。

執筆者

沖山 翔

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。