関節リウマチに漢方はなぜ効くのか?遺伝子への作用を分析

漢方薬の桂芍知母湯(けいしゃくちもとう)は関節リウマチの治療に使われます。中国の研究班がその作用を詳しく調べたところ、ほかの治療薬が標的としている物質や、病気に関係する遺伝子への作用があることが見つかりました。
◆桂芍知母湯が作用する標的を特定
研究班は、桂芍知母湯が関節リウマチを治療するメカニズムを解明するために、桂芍知母湯に含まれる9種類の生薬について、そこに含まれる合計673種の成分の作用をまとめました。
673成分が働く標的となる物質1,327種をデータベースから収集しました。
さらに、標的物質と遺伝子調節の関係についてもデータベースから解析することで、関節リウマチに関係する675種の遺伝子による反応経路に、桂芍知母湯の成分が関与するかどうかを調べました。
比較のため、アメリカ食品医薬品局(FDA)が承認している抗リウマチ薬30種類についても同様に79種の標的物質を特定し、遺伝子の働きに対する関与を検討しました。
◆抗リウマチ薬と共通の標的があった
調査の結果、抗リウマチ薬が標的とする79種の物質のうち25種は、桂芍知母湯によっても作用を受けるものでした。
遺伝子との関係について、抗リウマチ薬は21の遺伝子に関与していましたが、桂芍知母湯は抗リウマチ薬と共通の7遺伝子に加え、ほかの127遺伝子にも関与していました。
桂芍知母湯が関節リウマチに対して、一部で抗リウマチ薬と共通する働きを持っている可能性が示されました。
生薬やその成分が働くしくみは、さまざまな研究により理解が進んできています。こうした結果が、病気や治療についてさらに解明を進めるために取り込まれていくかもしれません。
執筆者
Deciphering the Potential Pharmaceutical Mechanism of Chinese Traditional Medicine (Gui-Zhi-Shao-Yao-Zhi-Mu) on Rheumatoid Arthritis.
Sci Rep. 2016 Mar 3.
[PMID: 26935797]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。