2016.02.29 | コラム

変形性股関節症の原因と症状

歩行への影響など
変形性股関節症の原因と症状の写真
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この記事のポイント

1.変形性股関節症とは?
2.変形性股関節症の原因は?
3.変形性股関節の特徴的な症状とは?

変形性股関節症は、股関節の軟骨や骨の破壊・変形により、痛みや動かしにくさなどの症状を現す病気です。変形性股関節症の原因と特徴的な症状について解説します。

◆変形性股関節症とは?

変形性股関節症は、股関節にある軟骨がすり減ったり、骨が変形したりすることによって、足の付け根の痛みなどの症状がでる病気です。

股関節は、骨盤の臼蓋と呼ばれる受け皿と、大腿骨(太ももの骨)の付け根の大腿骨頭と呼ばれる球状の部分によって構成されています。変形性股関節症では、股関節の軟骨がすり減り、関節と関節の隙間が狭くなってきます。進行とともに骨棘形成・亜脱臼などの骨の変化が現れ、レントゲン写真で見るとしだいに骨の変形が大きくなっていき、それとともに痛みなどの症状も進んでいきます。

 

◆変形性股関節症の原因は?

変形性股関節症は原因によって大きく2つに分けることができます。原因がわからないものを一次性変形性股関節症と呼びます。ほかの原因によって引き起こされているものを二次性変形性股関節症と呼びます。

二次性変形性股関節症の原因になるものはさまざまですが、代表的な例として、生まれつき股関節の形に異常がある「臼蓋形成不全」、赤ちゃんの時に股関節の変化が始まる「発育性股関節形成不全」などがあります。臼蓋形成不全によるものは二次性変形性股関節症の8割を占めるとも言われます。発育性股関節形成不全は、「先天性股関節脱臼」と呼ばれるものを含み、ほかにも赤ちゃんの足を伸ばした姿勢のままにさせるなどが原因で、股関節の脱臼などを来した状態を指します。

ほかの例として、6歳ごろを中心に現れる病気の「ペルテス病」では、大腿骨の股関節に近い部分が破壊され変形します。大腿骨の変形は「扁平股」とも呼ばれ、股関節に面する部分が本来の球形に近い形から楕円形に変わり、脚の痛みや動かしにくさなどの症状を現します。ペルテス病も二次性変形性股関節症の原因になります。

 

◆変形性股関節症の特徴的な症状とは?

変形性股関節症の主な症状は、股関節の痛みです。初期の典型的な症状としては、立ち上がる時や歩き始めなど、動作を始めた時に足の付け根が痛みます。長く歩いたあとのだるさといして感じられる場合もあります。さらに病気が進むと、歩いている最中に痛みで立ち止まってしまう(跛行)といった症状も現れます。

痛みはしだいに持続するようになり、安静時や寝ているときにも痛むようになります。

 

日常生活では、股関節が曲がりにくくなるため、靴下を履いたり、足の爪を切ることが難しくなる場合があります。また、和式トイレの使用や、床への立ち座りなども制限されます。

 

股関節は、立っているときや、歩いているときに体重を支える役割を持っています。歩いている時は体重のおよそ3倍、立ち上がる時は体重のおよそ6倍、低い位置から立ち上がる時は体重のおよそ10倍、股関節に力が働いています。そのため、変形性股関節症の患者さんでは、股関節の痛みや変形によって特徴的な歩き方や立ち上がり方が現れます。例えば、歩く時に左右に体を振ったり腰を振ったりするような歩き方をする場合があります。これは、股関節の変形や、痛みに伴う筋力低下によって引き起こされる歩き方です。その他の特徴的な歩き方として、トレンデレンブルク徴候やデュシェンヌ現象と呼ばれるものがあります。これは股関節の動きに関わる中殿筋という筋肉の筋力低下によるもので、痛いほうの足で立つと痛くないほうの腰が下がり、上体はバランスを取るように痛いほうに傾くというものです。

 

また、股関節が変形することで、左右の足の長さが変わり、足を引きずったような歩き方になる方もいます。このように全身のバランスが変わることで、股関節だけでなく、膝や足の関節に影響が出ることも考えられます。たとえば変形性股関節症とともに変形性膝関節症が現れている人で、股関節の手術後に膝の症状が悪化するといった場合があります。

 

変形性股関節症は、X線(レントゲン) 検査をすることで、診断できます。徐々に骨の変形や症状が進行していく疾患ですが、早めに発見すれば、原因によっては根治を図れる治療もあります。足の付け根の痛みがある場合には変形性股関節症を含めて原因を調べることに意義があるので、整形外科を受診しましょう。

注:この記事は2016年2月29日に公開しましたが、2018年2月21日に編集部(大脇)が更新しました。

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※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。