高層階で心停止すると助かりにくい
高層階から救急隊が患者さんを搬送するのは困難で、遅延がともなうこともあります。カナダの研究チームが高層住宅における階数と心停止の生存率の関連を検討しました。
◆7,842人を対象に調査
研究チームは、18歳以上の心停止の患者さん7,842人のデータを調査し、心停止が起こった場所の階数が生存率にどのように関連するのかを検討しました。
◆25階以上で生存者なし
全体のうち、76.5%が2階以下、23.5%が3階以上でおこった心停止でした。生存率は2階以下で4.2%、3階以上で2.6%でした。16階より上では生存率1%を下回り、25階より上では生存者はいませんでした。
高層階からの患者さんの搬送は問題視されています。 搬送が遅れる原因として、エレベーターの優先使用ができない、エレベーターに担架が乗らない、通路が狭い、オートロックですぐに中に入ることができないなどがあげられます。また、搬送がエレベーターからでも階段でも、充分な心肺蘇生法を行なうことが難しいという報告もあります。
研究チームは、対策として救急隊にエレベーターのマスターキーを持たせる、救急隊到着前に管理者への通知、
救急隊の到着前に、近くにいる人が素早く救命措置ができるようにしておくことも大切です。AEDは特に訓練を受けていない人でも使いやすいように工夫されていますが、AEDの使い方や心肺蘇生法の講習が色々な機関で行なわれていますので、関心がある方はお調べになってはいかがでしょうか。
執筆者
Out-of-hospital cardiac arrest in high-rise buildings delays to patient care and effect on survival
CMAJ. January 2016.
[PMID: 26783332]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。