2016.01.18 | ニュース

多発性硬化症のリハビリテーションは何に効く?

1ヵ月後と3ヵ月後の効果を検証

from Acta neurologica Belgica

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多発性硬化症は、脳や脊髄のなかで色々な場所の神経が、障害をうける病気です。感覚が鈍くなる、動きにくくなるなどの症状が現れたり軽くなったりを繰り返す特徴がみられます。多発性硬化症に対するリハビリテーションの効果が検討されました。

◆1ヵ月後と3ヵ月後の効果を検証

多発性硬化症患者に対しリハビリテーションを行った際、疲労感、自己効力感、身体活動に影響があるかについて調べました。研究グループは、治療薬を使うことに加えて、リハビリテーションを行うグループと、薬のみのグループにランダムに分け、1ヵ月後と3ヵ月後の効果を調べました。効果の測定には、疲労感(Fatigue Severity Scale:FSS)、自己効力感(Multiple Sclerosis Self- Efficacy scale:MSSES)、身体機能(Godin Leisure-Time Exercise Questionnaire:GLTEQ)に関する質問紙を用いました。

 

◆リハビリテーションで自己効力感が改善

研究の結果、以下が示されました。

MSSESの機能と制御の平均は、ベースライン値と比較して、1ヵ月後にも(807.1 ± 96.8、p = 0.005;665.3 ± 145.1, p = 0.05)3ヵ月後にも(820 ± 83.5、p = 0.004;720.0 ± 198.2、p = 0.016)治療群で有意に改善した。

この結果は、リハビリテーションによって、1ヵ月後と3ヵ月後の自己効力感が改善したことを示しています。

 

リハビリテーションによって、自己効力感が向上する可能性が示されました。今回の研究から、そのプロセスは明らかとなっていませんが、近年リハビリテーションの介入方法によって、機能の向上だけでなく、患者の自律心やQOLを改善するとの報告もみられています。多発性硬化症後にも、リハビリテーションを導入してみても良いかもしれません。

執筆者

NK

参考文献

Effectiveness of rehabilitation in multiple sclerosis relapse on fatigue, self-efficacy and physical activity.

Acta Neurol Belg. 2015 Nov 12.

[PMID: 26563405]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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