2016.01.11 | ニュース

気付かないうちに腎臓が悪化する難病、IgA腎症の重症患者に免疫抑制薬は有効なのか

162人を3年間治療
from The New England journal of medicine
気付かないうちに腎臓が悪化する難病、IgA腎症の重症患者に免疫抑制薬は有効なのかの写真
(C) tomschoumakers - Fotolia.com

IgA腎症は若い人にも多く見られますが、自覚症状がなく発見されないうちに腎臓が徐々に悪化していくことがあります。免疫の異常が原因と考えられていますが、免疫抑制薬による治療に効果があるのか、検証が行われました。

◆IgA腎症とは

腎臓の糸球体という部分に炎症が起きる病気の一種で、IgAというタンパクが腎臓に溜まってしまうことが原因でおきます。ほとんど自覚症状はない疾患ですが、長年のうちに腎臓の機能が徐々に悪化して、透析が必要になる原因にもなりえます。

 

◆162人の腎機能検査値を3年間調査

この研究では、IgA腎症の患者で、1日当たり0.75g以上の尿タンパクの症状が続いている人が対象となりました。対象者を、通常の治療を行う群と、これに免疫抑制薬を併用する群に分け、腎機能の検査値について3年間調査を行いました。

 

◆免疫抑制薬のほうが改善が多いが、副作用も

次の結果が得られました。

3年後、支持的治療群で4人(5%)の患者が、免疫抑制薬群で14人(15%)の患者が完全な臨床的寛解を得た(P=0.01)。

免疫抑制薬群では支持的治療群よりも多くの患者に、最初の1年での重症の感染症、耐糖能異常、5㎏を超える体重増加が見られた。免疫抑制薬群で1人の患者が敗血症により死亡した。

通常の治療を受けた群よりも、免疫抑制薬を併用した群のほうが、3年後に検査値が一定水準まで改善している割合が多くなりました。しかし、副作用の可能性があることとして、免疫抑制薬を併用した群で敗血症により死亡した人が1人いました。

 

IgA腎症は難病とされ、免疫抑制薬による治療も以前から研究されていますが、この研究でも見られたように、感染症につながる恐れがあるとも言われています。長期的に有効で安全な治療法は今も模索されている途上です。

執筆者

宮本 知明

参考文献

Intensive Supportive Care plus Immunosuppression in IgA Nephropathy.

N Engl J Med. 2015 Dec 3.

[PMID: 26630142]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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