2016.01.03 | ニュース

子供の双極性障害にアセナピン

403人を分析

from Journal of the American Academy of Child and Adolescent Psychiatry

子供の双極性障害にアセナピン の写真

双極性障害は、うつと躁の症状を繰り返す病気です。その中でもI型は、躁状態が重い型です。今回の研究では、双極性障害I型の子どもを対象に、アセナピンという薬の効果を検証しました。

◆アセナピンの効果は?

アセナピンは、抗精神病薬の一種で、従来統合失調症の薬として使用されていました。ドパミンとセロトニンという脳の働きを活性化したり抑制したりする物質を調整する薬です。

今回の研究では、10歳から17歳の双極性障害I型の子ども403人を対象に、アセナピンを1日2回服薬する群と、偽薬を服薬する群に分け、効果を検証しました。アセナピンの群はさらに用量を2.5mg、5mg、10mgの3種類に分けました。

 

◆アセナピンは有効

以下の結果が得られました。

躁状態への偽薬に対するアセナピンの平均差は、アセナピン1日2回2.5mg、5mg、10mgのそれぞれで、-3.2(p=0.0008)、-5.3(p<0.001)、-6.2(p<0.001)であった。

どの用量でも、アセナピンは偽薬と比べて有効でした。副作用は、ふらつき、不眠などでした。

 

子どもの双極性障害は、人とのコミュニケーションや集団行動などの障害になることがあり、有効な薬が確立されることは有用です。さらに検証が重ねられ、選択肢のひとつとして使用される日も近いかもしれません。

執筆者

Shuhei Fujimoto

参考文献

Asenapine for the Acute Treatment of Pediatric Manic or Mixed Episode of Bipolar I Disorder.

J Am Acad Child Adolesc Psychiatry. 2015 Dec

[PMID: 26598478]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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