2015.11.08 | ニュース

双極性障害のうつ症状にケタミンは有効か?

文献レビューにより検証
from The Cochrane database of systematic reviews
双極性障害のうつ症状にケタミンは有効か?の写真
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躁状態とうつ状態を繰り返す双極性障害の治療には、リチウムなどの薬が使われますが、グルタミン酸受容体調整薬という種類の薬も研究されています。これまでの研究報告から、ケタミンなどのグルタミン酸受容体調整薬についての結果がまとめられました。

◆双極性障害のうつ症状を治療するグルタミン酸受容体調整薬

グルタミン酸受容体調整薬は、脳にある神経細胞の一部で信号の伝達をブロックすることにより、精神症状に対して作用すると考えられています。

研究班は、過去の文献を検索し、成人の双極性障害患者のうつ症状に対して、ケタミンやそのほかのグルタミン酸受容体調整薬の効果と副作用を調べたものを集め、データを統合しました。

 

◆ケタミンが24時間有効

次の結果が得られました。

5件の研究(329人の参加者)がこのレビューに採用された。

このレビューに含まれるすべてのグルタミン酸受容体調整薬のうち、ケタミンだけが、応答率の一次アウトカムに関して注入後24時間の時点で偽薬よりも有効と見られた(オッズ比11.61、95%信頼区間1.25-107.74、P=0.03、I2=0%、2件の研究、33人の参加者)。

得られた5件の研究のデータから、ケタミンは使用後24時間でうつ症状を抑える効果があると見られましたが、ほかのグルタミン酸受容体調整薬については効果が確かめられませんでした。

副作用については次のように、ケタミンの副作用を示す結果が見られませんでした。

有害事象については、偽薬とケタミン、メマンチン、シチジンの間に有意差は見られなかった。

研究班は「全体として、24時間後までの治療応答率について、ケタミン静脈内1回投与が(気分安定薬に加えての治療として)偽薬にまさることの限定的なエビデンスが得られた[...]」とまとめています。

 

ケタミンは麻酔薬としても使われている薬で、日本ではうつ症状の治療として標準的とはされていません。しかし、こうした研究を参考に、応用の可能性についてさらに議論が進むかもしれません。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Ketamine and other glutamate receptor modulators for depression in bipolar disorder in adults.

Cochrane Database Syst Rev. 2015 Sep 29

[PMID: 26415966]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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