2015.12.26 | ニュース

「血も凍るような恐怖」は本当だった!?凝固機能を調べると…

オランダ24人の血液検査

from BMJ (Clinical research ed.)

「血も凍るような恐怖」は本当だった!?凝固機能を調べると…の写真

とても怖いことを「血も凍るような」とたとえる慣用句がありますが、本当に怖さで血が凍ることがあるのでしょうか。オランダのライデン大学医療センターの研究班が、怖い映画を見たときの血液の変化を報告しました。

◆ホラー映画を見ると血液は固まるか?

研究班は、30歳以下の健康なボランティア24人を対象として、ホラー映画と教育映画を見てもらい、それぞれの映画を見る前後で血液を検査し、血液が固まる機能に関わる凝固第VIII因子、D-ダイマー、トロンビン-アンチトロンビン複合体などの物質の量を調べました。

 

◆凝固因子が増える

次の結果が得られました。

ホラー映画は教育映画に比べて、視覚的アナログ恐怖スケールにおいてより怖いと感じられた(平均差5.4、95%信頼区間4.7-6.1)。映画を見る前後での凝固第VIII因子の値の変化は、教育映画よりもホラー映画で大きかった(変化量の平均差11.1IU/dl、95%信頼区間1.2-21.0IU/dl)。

ホラー映画と教育映画の怖さを、線の長さで表現する方法で聞き取ったところ、平均してホラー映画のほうが怖いという回答がありました。ホラー映画を見たあとでは、教育映画を見たあとに比べて、血液を固まらせる凝固第VIII因子の増加量が多くなっていました

 

恐怖で本当に血が凍ってしまうとまでは言えないまでも、血液を固まらせる成分が多くなるという結果でした。

この研究は、イギリスの有名電子ジャーナル『BMJ』のクリスマス特集の中に掲載されたものです。『BMJ』のクリスマス特集は、毎年このような遊び心のある研究を報告しています。研究者もときにはまじめな仕事から離れたり、ホラー映画を見て楽しんだりすることで、大事な研究を続けられるのかもしれません。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Bloodcurdling movies and measures of coagulation: Fear Factor crossover trial.

BMJ. 2015 Dec 16

[PMID: 26673787]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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