血圧を下げる薬で、子どもの落ち着きがない症状を治療

落ち着きがなく動き回ってしまう(多動性)など、注意欠如・多動性障害(ADHD)と似た症状が、自閉症スペクトラム障害でも現れることがあります。血圧を下げる作用でも知られる薬を使って、こうした症状のある子どもを治療する研究が行われました。
◆グアンファシンで8週間治療
グアンファシンは、血圧を下げる薬としても知られていますが、脳を含む神経系に対する作用があり、アメリカではADHDの治療としても承認されています(血圧を下げること自体に治療効果があるわけではありません)。この研究は、自閉症
対象となった8歳前後の子ども62人は、グアンファシンを飲むグループと、偽薬を飲むグループにランダムに分けられ、8週間の治療を受けました。
◆多動性に改善あり
次の結果が得られました。
Aberrant Behavior Checklistの多動性サブスケールのスコアが、偽薬群では13.2%減少したこと(最小二乗平均34.2から29.7へ)に対して、グアンファシン群は43.6%減少した(最小二乗平均34.2から19.3へ、効果量1.67)。
最も頻繁に見られた有害事象には眠気、疲労、食欲減退があった。
多動性のスコアが、グアンファシンのグループでより大きく改善しました。副作用の可能性があることとして、眠気、疲労、食欲減退などが見られました。
自閉症スペクトラム障害の治療はさまざまな観点から研究されていますが、わかっていない部分も多く残されています。この結果も、さらに効果的な治療に結び付くかもしれません。
執筆者
Extended-Release Guanfacine for Hyperactivity in Children With Autism Spectrum Disorder.
Am J Psychiatry. 2015 Aug 28 [Epub ahead of print]
[PMID: 26315981]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。