◆メトトレキサートで十分な効果がない人が対象
この研究は、関節リウマチの患者で、よく使われるメトトレキサートという薬で治療されたにもかかわらず十分な効果が得られなかった人を対象に、クラザキズマブの月1回の注射を使い、治療に適した用量を調べました。
418人の対象者は、使う薬が違う以下のグループにランダムに分けられ、治療を受けました。
- クラザキズマブ25mgとメトトレキサート
- クラザキズマブ100mgとメトトレキサート
- クラザキズマブ200mgとメトトレキサート
- クラザキズマブ100mgのみ
- クラザキズマブ200mgのみ
- メトトレキサートのみ
◆症状が少なくなった人が多い
次の結果が得られました。
クラザキズマブ群の患者は、メトトレキサート単独群の患者と比べてACR20応答の率が12週で有意に大きかった(メトトレキサートと併用のクラザキズマブ25mg群で76.3%、100mg群で73.3%、200mg群で60.0%、クラザキズマブ単独100mg群で55.0%、単独200mg群で61.0%、メトトレキサート単独群で39.3%、すべての比較についてP<0.05)。
深刻な有害事象の率はクラザキズマブ治療群では8.3%から13.6%の範囲にあり、メトトレキサート単独群では3.3%だった。
12週間の治療後、関節の痛みや腫れの症状が一定の基準にまで少なくなった人の割合が、メトトレキサートのみのグループでは39.3%でしたが、クラザキズマブを使ったグループでは55.0%から76.3%と大きくなっていました。ただし、副作用の可能性がある症状などで深刻なものは、メトトレキサートのみのグループで3.3%だったのに対して、クラザキズマブを使ったグループでは8.3%から13.6%の人に起こりました。
関節リウマチは長期間の治療が必要になることも多く、十分な治療がなされないと骨の変形や環軸関節亜脱臼による死亡などにつながる可能性もあります。より有効で安全な治療法を目指して、新薬がいまも開発されつつあります。
執筆者
The Efficacy and Safety of Subcutaneous Clazakizumab in Patients With Moderate-to-Severe Rheumatoid Arthritis and an Inadequate Response to Methotrexate: Results From a Multinational, Phase IIb, Randomized, Double-Blind, Placebo/Active-Controlled, Dose-Ranging Study.
Arthritis Rheumatol. 2015 Oct
[PMID: 26138593]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。