◆リンパマッサージ、スキンケアなどを行う群と対照群にランダムに振り分け
乳がんの手術で、転移の可能性がある周りのリンパ節を取り除くと、本来のリンパ液の流れが乱され、腕などにリンパ液がたまるリンパ浮腫という状態が引き起こされることがあります。
乳がん治療後の患者57人をリンパマッサージ、スキンケア、弾性包帯治療などを行う群とリンパマッサージ以外を行う群の2群に分け、腕の浮腫に対するリンパマッサージの効果を検証しました。
◆リンパマッサージを行っても行わない場合と同様の効果かもしれない
以下の結果が得られました。
体積の減少は介入によらず高く有意であり(p<0.001)、どちらの治療も体積過剰減少率は平均15.02%であった。
リンパマッサージの実施に関わらず、乳がん治療後のケアによって浮腫の程度は大きく改善したという結果でした。
筆者らは、「[...]、乳がん後のリンパ浮腫がある女性に徒手的リンパドレナージを追加しても、治療による改善が有意に大きくなるとは言えない」と述べています。
乳がんの治療後、理学療法などでリンパ浮腫のケアを行うことは意義がある一方で、その内容にリンパマッサージを加えることの意義は示されませんでした。今回の結果を参考に、リンパマッサージを行うべきかも含めた、理学療法プログラムの検討が期待されます。
執筆者
Physiotherapy in upper limb lymphedema after breast cancer treatment: a randomized study.
Lymphology. 2014 Jun
[PMID: 25282874]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。