◆進行した腎細胞がんを治療
この研究は、腎細胞がんがあり、ほかの種類の薬による治療のあとがんの進行があった人が対象になりました。
カボザンチニブはほかの種類のがんに対して効果が示されていますが(日本では未承認)、腎細胞がんに対しては標準的とされていません。
対象者はランダムに2グループに分けられ、カボザンチニブを使う治療を受けるか、既存の薬であるエベロリムスによる治療を受けることとされました。
◆進行なく生存した期間が長い
次の結果が得られました。
無増悪生存期間の中央値はカボザンチニブに対して7.4か月、エベロリムスに対して3.8か月だった。進行または死亡の率はエベロリムス群よりもカボザンチニブ群で42%低かった(ハザード比0.58、95%信頼区間0.45-0.75、P<0.001)。
有害事象は用量減少によって管理された。用量はカボザンチニブを使った患者の60%、エベロリムスを使った患者の25%で減少された。有害事象による試験治療の中止はカボザンチニブを使った患者の9%、エベロリムスを使った患者の10%に起こった。
エベロリムスを使ったグループよりも、カボザンチニブを使ったグループのほうが、がんが進行することなく生存した期間が長くなりました。副作用の可能性がある症状などにより、カボザンチニブを使った人の9%がカボザンチニブを中止しました。
進行した腎細胞がんに対しても、いくつかの治療法が研究されています。効果が期待できるとされた治療薬でも、人によって十分な効果が得られない場合があり、もしカボザンチニブが新薬として加わることができれば、治療の可能性が広がるかもしれません。
執筆者
Cabozantinib versus Everolimus in Advanced Renal-Cell Carcinoma.
N Engl J Med. 2015 Sep 25 [Epub ahead of print]
[PMID: 26406150]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。