月1回の注射でコレステロールを半減、エボロクマブとアリロクマブの効果は

脂質異常症(高脂血症)の治療薬にはスタチンなどいくつかの種類があり、効果を比べた多くの研究があります。そのうち抗PCSK9抗体という分類にあたる2種類の薬について、これまでの研究結果がまとめられました。
◆アリロクマブとエボロクマブの研究から
研究班は、抗PCSK9抗体であるアリロクマブとエボロクマブについて、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)を減らす効果を調べた研究を集めて統合しました。
◆月1回のエボロクマブ、2週間ごとのアリロクマブで半減
次の結果が得られました。
12,200人の参加者を含む25件のRCTが採用された。
月1回420mgのエボロクマブ治療は、LDLコレステロールを偽薬と比べて54.6%(95%信頼区間50.5-58.7%)、絶対量では78.9mg/dl(95%信頼区間68.9-88.9mg/dl)有意に減少させ[...]HDLコレステロールを7.6%(95%信頼区間5.7-9.5%)増加させた。
2週間ごとに50mgから150mgのアリロクマブは偽薬と比べてLDLコレステロールを52.6%(95%信頼区間47.0-58.2%)減少させ[...]HDLコレステロールを8.0%(95%信頼区間4.2-11.7%)増加させた。
見つかった25件の研究のデータによれば、エボロクマブの月1回の注射によりLDLコレステロールが54.6%減少し、アリロクマブの2週間ごとの注射によりLDLコレステロールが52.6%減少したという結果でした。
アリロクマブ、エボロクマブはどちらも日本では未承認ですが(2015年9月時点)、こうした研究がすでになされています。脂質異常症の治療において、ほかの薬を使った治療よりも効果を高めるため、あるいは副作用の懸念とも考え合わせて、新しい種類の薬が加わることで治療の幅が広がるかもしれません。
執筆者
Safety and efficacy of anti-PCSK9 antibodies: a meta-analysis of 25 randomized, controlled trials.
BMC Med. 2015 Jun 23
[PMID: 26099511]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。