2015.05.08 | ニュース

高脂血症の薬でインスリンが減る?

2型糖尿病の発症リスク1.46倍、フィンランドで大規模調査
from Diabetologia
高脂血症の薬でインスリンが減る?の写真
(C) roger ashford - Fotolia.com

脂質異常症(高脂血症)の治療に、スタチンという種類の薬がよく使われます。スタチンの副作用として「2型糖尿病が増える」という指摘があり、フィンランドの研究班がそのしくみを調べたところ、スタチンの用量が多いほど、血糖値を下げるホルモンであるインスリンの分泌量と、インスリンが与えられたときの血糖値の反応(インスリン感受性)が低いという関係が見つかりました。

◆8,749人のデータを分析

この研究では、フィンランドの男性を対象にしたメタボリックシンドロームの大規模研究で集められたデータベースを調べました。

45歳から73歳で糖尿病のない8,749人の参加者が5.9年間追跡され、そのうち625人に新しく糖尿病発症していました。
 

◆2型糖尿病が1.46倍

参加者のうちスタチンの治療を受けていたのは2,142人で、その人たちには、スタチン治療を受けていない人に比べて2型糖尿病が発症する確率が1.46倍と高くなっていました。スタチンの中でもシンバスタチンとアトルバスタチンを多く使うほど2型糖尿病の発症が多い傾向がありました。スタチンを使っている人ではインスリンの分泌量が12%、インスリン感受性は24%低下していました。この効果はシンバスタチンとアトルバスタチンを多く使うほど強く現れていました。

研究班は「スタチンが2型糖尿病のリスクを46%増やした作用は、インスリンの分泌量とインスリン感受性の低下によるものかもしれない」とまとめています。

 

 

スタチンは高脂血症の治療においては非常に重要ですが、糖尿病を起こしうるとすれば使い方を考える必要があるかもしれません。しかし、副作用が起こるしくみが解明されれば、さらに新しい薬を作るヒントになることも想像できます。スタチンを飲んだことのある方、処方したことのある方はどう思われますか?

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Increased risk of diabetes with statin treatment is associated with impaired insulin sensitivity and insulin secretion: a 6 year follow-up study of the METSIM cohort.

Diabetologia. 2015 May

[PMID: 25754552]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。