インフルエンザ感染の拡大は飛行機旅行と関係がある!?
旅行によりインフルエンザ感染が拡大する可能性については様々な報告がされています。今回は、実際のデータに基づき、インフルエンザ感染の拡大と飛行機旅行の関連を検証した2006年の論文を紹介します。
◆国内線と国際線の飛行機の使用量とインフルエンザ、肺炎による死亡との関連を検証
今回の研究は、アメリカの疾病予防管理センターのデータから、1996年から2005年にインフルエンザまたは肺炎で死亡した人の数を用いて、9地域の飛行機を使った旅行と死亡率の関連を分析しました。
飛行機を使った旅行は、国内線と国際線の旅行者数とフライト数を調査しました。
◆11月の国内線を用いた旅行とインフルエンザによる死亡が関係あり
以下の結果が得られました。
11月(ほとんどがサンクスギビングデイ付近の休日)の国内線飛行機を用いた旅行数が、インフルエンザ拡大率を予測することがわかった(r2=0.60、p=0.014)。
11月の国内線利用による旅行数が多い年に、インフルエンザの感染拡大が速いという結果でした。
インフルエンザの感染拡大と飛行機旅行には関連があることを示した研究ですが、個人ごとに追跡調査を行ったわけではなく、地域ごとのデータで関連性を検証しているため、この因果関係について正確に述べることはできません。これからインフルエンザが流行る季節に近づいてきます。予防対策に加え、このような情報も頭の片隅に置いておくとよいかもしれません。
執筆者
Empirical evidence for the effect of airline travel on inter-regional influenza spread in the United States.
PLoS Med. 2006 Sep
[PMID: 16968115]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。