インフルエンザワクチンは妊婦にも安全なのか?

妊娠中にインフルエンザワクチンを打っていいの?と思う方もいらっしゃるでしょう。安全性について報告した2013年の論文では、ワクチンを接種した妊婦に副作用らしい症状が現れる頻度は、接種しなかった人と変わらないという結果が示されました。
◆妊婦22万人を対象に分析
この研究は妊婦22万人を対象に行われました。対象者は75,906人のワクチンを接種した妊婦と、年齢・地域・妊娠時期が同等である、147,992人の未接種の妊婦です。ワクチンを接種したグループとワクチンを接種していないグループで、副作用として予想された症状が起きる割合の比較が行われました。
◆両群で症状発生の差は認められない
次の結果が得られました。
接種した後3日間で、3価の不活化インフルエンザワクチンと、アレルギー反応、蜂巣炎、けいれんを含む副反応の発症リスク上昇とは関連しなかった(全コホートについて調整発症率比1.12、95%信頼区間0.81-1.55、P=0.48、妊娠前期の調整発症率比0.97、95%信頼区間0.53-1.78、P=0.93)。接種後42日間で、ギランバレー症候群、視神経炎、横断性脊髄炎、ベル麻痺の発症は同定されなかった。
ワクチン接種後3日間では、アレルギー反応、蜂巣炎、けいれんなどの症状が起きる割合は、ワクチンを接種したグループと、接種していないグループで、違いが認められませんでした。また、ワクチン接種後42日間でギランバレー症候群、視神経炎、横断性脊髄炎、ベル麻痺の発症は認められませんでいた。
妊娠中にインフルエンザワクチンを接種しても良いか、不安に感じる方はいるかもしれませんが、その点に関してはこのような研究がすでに行われています。なお、産まれてくる子どもへの影響については、別の研究で安全性が検証されています。
執筆者
Maternal safety of trivalent inactivated influenza vaccine in pregnant women.
Obstet Gynecol. 2013 Mar
[PMID: 23635613]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。