◆HIV感染、非感染の妊婦それぞれで予防接種の効果を検証
今回紹介する論文は、2011年にHIVに感染している妊婦を対象とした3価不活化インフルエンザワクチンの効果を検証した研究と、その後2011年から2012年にHIVに感染していない妊婦を対象としたインフルエンザワクチンの効果を検証した研究をあわせて報告したものです。以下ではHIVに感染していない妊婦を対象とした研究について紹介します。
◆妊婦へのインフルエンザワクチン接種で部分的に発症を予防できる
以下の結果が得られました。
HIVに感染していない3価不活化ワクチンの接種者とその胎児の感染率は、それぞれ1.8%と1.9%であり、ワクチンの効能率は50.4%(95%信頼区間14.5-71.2)と48.8%(95%信頼区間11.6-70.4)であった。
インフルエンザワクチンを接種すると、妊婦にもその胎児にも、50%程度の予防効果があるという結果でした。
今回の研究は、妊婦へのインフルエンザワクチンの接種は部分的にインフルエンザ感染を予防するというものでした。ワクチンでインフルエンザが完全になくなるわけではなく、注射した場所の痛みなどの副反応が起こる場合もありますが、インフルエンザがある程度少なくなる効果がこのように示されています。ワクチンの接種を検討されている方は医師に相談してください。
執筆者
Influenza vaccination of pregnant women and protection of their infants.
N Engl J Med. 2014 Sep 4
[PMID: 25184864]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。