人工股関節全置換術または人工膝関節全置換術後の透析患者は死亡リスクが10倍
透析を受けている人は、変形性関節症や骨壊死が進行しやすいことが知られています。今回の研究は、変形性関節症に対する手術として行われることが多い人工関節全置換術を行った透析患者の死亡率について検証しました。
◆人工関節手術後の透析患者の死亡率を検証
2000年から2009年に人工股関節全置換術または人工膝関節全置換術を行った
透析患者と透析をしていない患者の、死亡率や病気に伴って
◆透析を行っていると死亡率、合併症の発症率が高くなる
人工股関節全置換術を行った患者について、以下の結果が得られました。
透析を行っている患者は、入院死亡率(0.13%と比較して1.88%、p<0.0001)が高く、全体の合併症率(4.97%と比較して9.98%、p=0.0001)がより多かった。
人工膝関節全置換術を行った患者では、以下の結果が得られました。
透析を行っている患者は、入院死亡率(0.10%と比較して0.92%、p<0.0001)が高く、全体の合併症率(5.00%と比較して12.48%、p<0.0001)がより多かった。
股関節、膝関節の人工関節全置換術を行い、さらに透析を行っている患者では、透析をしていない患者に比べて、死亡率や合併症の発症率が高いという結果でした。
筆者らは、「透析患者の人工股関節・膝関節全置換術は、透析を行っていない患者よりも入院死亡率では10から20倍、合併症全体の発症率では2倍と、高いリスクがある。」と結論づけています。
透析と人工関節の手術を行った人は死亡率が高いという結果でした。しかしながら、透析も手術も重要な治療法です。腎臓移植など、ほかの治療法によって死亡率が高くならないようにできないか、新たな打開策が今後発展することに、重要な意義があるのかもしれません。
執筆者
Inpatient Mortality and Morbidity for Dialysis-Dependent Patients Undergoing Primary Total Hip or Knee Arthroplasty.
J Bone Joint Surg Am. 2015 Aug 19
[PMID: 26290083]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。