2015.08.28 | ニュース

前立腺がんの治療で「リスク84%増加」、ホルモン療法の注意点とは?

前立腺がん患者2万人の追跡から

from European urology

前立腺がんの治療で「リスク84%増加」、ホルモン療法の注意点とは?の写真

前立腺がんの治療には手術などのほか、薬を使う男性ホルモン遮断療法があります。治療に関連するリスクについての研究が行われました。

◆静脈血栓塞栓症のリスクを検討

この研究は、男性ホルモン遮断療法と関連して静脈血栓塞栓症の頻度に違いがあるかどうかを調べました。

前立腺がんの診断を受けた男性2万人あまりの診療データから、統計解析を行いました。

 

◆静脈血栓塞栓症が84%増

次の結果が得られました。

コホートには21,729人の患者が含まれ、うち609人がフォローアップ中に静脈血栓塞栓症で入院した。男性ホルモン遮断療法の使用中であることは、静脈血栓塞栓症のリスク84%増加と関連した(1,000人年あたり発症率10.1 vs 4.8、ハザード比1.84、95%信頼区間1.50-2.26)[...]。

男性ホルモン遮断療法で治療中の人は、そうでない場合に比べて、静脈血栓塞栓症のリスクが84%大きいという結果でした。

研究班は「この治療は、治療のリスクを利益が上回る患者のために取っておかれるべきである」と結論しています。

 

この結果だけでホルモン遮断療法のリスクは正確には判定できず、前立腺がんの治療法のうちで特にホルモン遮断療法が選ばれた背景に、静脈血栓塞栓症の増減と関わる要素が含まれていなかったかをあわせて考える必要があります。

どんな治療にも良い面と悪い面があり、前立腺がんの治療でも、どの治療法が最も適しているかはさまざまな角度から考える必要があるのかもしれません。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Androgen Deprivation Therapy for Prostate Cancer and the Risk of Venous Thromboembolism.

Eur Urol. 2015 Jun 29 [Epub ahead of print]

[PMID: 26138040]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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