◆65歳以上の男性790人を検証
血中テストステロン値が275ng/dl未満で、男性ホルモンの低下を示す症状がみられる65歳以上の男性790人をテストステロンが入った塗り薬を使用する群とプラセボの群にランダムに分け、1年間続けました。参加者は、性機能、身体機能、活力の3つの試験のうち1つ以上に参加しました。
◆性機能の向上とうつ症状の軽減に関連
テストステロン補充療法は血清テストステロン値を19-40歳男性の正常中間範囲まで増加させた。テストステロン値の上昇は、PDQの評価による性活動の有意な増加との関連がみられた(P<0.001)[…]テストステロンはFACIT–Fatigue Scaleの評価による活力への有意な利益は認められなかったが、テストステロンを使用した男性ではプラセボを使用した男性と比較して、気分と抑うつ症状の程度は若干良好だったことが報告された。有害事象の発現率は 2 群で同等だった。
テストステロン補充療法は、性活動の増加とうつ症状の若干の軽減に有用だという結果でした。歩行距離と、疲労の指標に効果はみられませんでした。
「テストステロン補充療法のリスクに関する結論を出すには参加者数があまりにも少なかった」と研究チームは述べています。別の研究で心血管疾患のリスクの増加を示すデータがある一方、そうではないというデータもあります。テストステロン補充療法は注射、内服薬、外用薬という方法があり、米国ではよく行われていますし、日本でも治療が受けられます。
色々な研究がされていますが、使ってみようとするときには、未だ有用かどうかは言いにくいという点を考えに入れたほうがよさそうです。
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