◆過去の研究を検証
研究班は、これまでの研究でフマル酸エステルの乾癬に対する効果を調べたものを集めて検証し、結果をまとめました。
◆2人に1人が治療効果で回復、2人に1人は副作用も
見つかった研究のデータから、次の結果が得られました。
2件の研究では、計247人の患者が対象とされ、どちらも要約としてしか報告されていなかったが、PASI50についてのメタアナリシスに適合し、偽薬に比べてフマル酸エステルの優位を示した(リスク比4.55、95%信頼区間2.80-7.40、低い質のエビデンス)。フマル酸エステルを与えられた群では複合PASI50が64%に、偽薬群ではPASI50が14%に見られ、これによって表されるnumber needed to treat to benefitは2となった。
偽薬群よりもフマル酸エステル群で多くの参加者が有害事象を経験し、それは主に胃腸運動障害と紅潮であり、フマル酸エステル群の76%、偽薬群の16%に有害事象があった(リスク比4.72、95%信頼区間2.45-9.08、1件の研究、99人の参加者、中等度の質のエビデンス、number needed to harmは2)。
フマル酸エステルを使ったグループの64%、偽薬を使ったグループの14%に一定基準以上の回復が見られ、フマル酸エステルが有効と見られました。副作用については、フマル酸エステルを使ったグループの76%、偽薬を使ったグループの16%に胃腸の不調などが見られました。
乾癬の治療としてフマル酸エステルは日本では一般的ではありませんが、こうした研究もあります。ほかの治療薬もあり、最近も新薬の研究が行われていますが、長期に及ぶ治療が必要になることもあり、有効な選択肢があれば助けになるかもしれません。
執筆者
Oral fumaric acid esters for psoriasis.
Cochrane Database Syst Rev. 2015 Aug 10 [Epub ahead of print]
[PMID: 26258748]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。