2015.07.29 | ニュース

放射線治療の意外な効果?照射していない場所でがんが小さくなった理由は

アメリカ41人の治療例
from The Lancet. Oncology
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(C) anton_novik - Fotolia.com

放射線療法が免疫の働きを刺激して、全身に影響を与えるという説があります。アメリカの研究班が、転移のあるがん患者に放射線治療を行い、さらに免疫を刺激する薬剤を使ったところ、放射線を照射した場所以外のがんが小さくなる効果が見られました。

◆G-CSFで免疫を刺激

研究班は、放射線により全身の免疫が刺激されて、放射線を照射していない未照射部位のがんに効果を現すという仮説を立てました。この仮説に基づいて、さらに免疫を刺激する狙いで、G-CSFという薬剤を組み合わせた治療法を考えました。

G-CSFは白血球を増やす作用があり、通常、化学療法の副作用として白血球が少なくなる反応を抑えるなどの目的で使われます。

研究班は、放射線照射に加えてG-CSFで免疫を刺激することで、未照射部位のがんに治療効果があるかどうかを調べました。

 

◆転移があるがん患者を治療

研究班は、転移があるがん患者を対象として、研究参加時に行われていた化学療法などに加えて、転移したがんに1か所ずつ放射線を照射し、さらにG-CSFを使いました。

効果として、放射線を照射した場所以外のがんの大きさが70%以下に小さくなる反応が見られるかどうかを調べました。

 

◆41人中11人に未照射部位で効果あり

次の結果が得られました。

2003年4月7日から2012年4月3日の間に、転移を有するがん患者41人が登録された。    未照射部位への効果は[...]41人のうち11人(26.8%、95%信頼区間14.2-42.9)に見られた(疾患特異的には、肺非小細胞がんの患者4人、乳がんの患者5人、胸腺がんの患者2人)。最も多く見られたグレード3から4の有害事象は疲労感(6人)、血液学的異常(10人)だった。加えて、グレード4の深刻な有害事象として、肺塞栓症が1人の患者に起こった。

参加者41人のうち11人で、放射線照射していない場所のがんが小さくなる効果が見られました。

研究班は「この結果は原位置の抗腫瘍ワクチンを確立するための有望なアプローチを示す」と述べています。

 

免疫療法は新しいがんの治療法として研究が進みつつあります。放射線療法と組み合わせるという発想からどんな治療法が現れるのか、想像が広がります。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Local radiotherapy and granulocyte-macrophage colony-stimulating factor to generate abscopal responses in patients with metastatic solid tumours: a proof-of-principle trial.

Lancet Oncol. 2015 Jul

 

[PMID: 26095785]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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