きょうせんしゅ、きょうせんがん
胸腺腫、胸腺がん
胸腺から発生する良性および悪性の腫瘍
8人の医師がチェック 166回の改訂 最終更新: 2018.01.28

胸腺腫、胸腺がんの基礎知識

POINT 胸腺腫、胸腺がんとは

胸腺腫も胸腺がんも胸骨の裏にある胸腺という組織できる腫瘍です。腫瘍内の細胞の性質によって胸腺腫と胸腺がんは異なります。また、胸腺腫では重症筋無力症や赤芽球ろうという病気を合併しやすいことが分かっています。主な症状は胸の痛み・咳・痰・呼吸困難などですが、合併症が出現することによって息切れや力が入りにくいなどの症状が現れることもあります。無症状のうちに見つかるケースも多いです。 画像検査で疑われることが多いですが、腫瘍の細胞を採取して顕微鏡で調べることで診断が確定します。治療は手術を基本として、腫瘍の進行度によって化学療法や放射線療法を行います。胸腺腫や胸腺がんが心配な人や治療したい人は、呼吸器外科を受診して下さい。

胸腺腫、胸腺がんについて

  • 胸腺の細胞から発生する腫瘍
    • 胸腺は胸骨の裏、心臓の前にある臓器
    • 胸腺は子どものころは免疫において重要な役割を果たしているが、大人になるにつれてその機能は落ちて、臓器としての機能はなくなり、脂肪の固まりとなる
  • 腫瘍は胸腺腫胸腺がんに分けられる
    • 胸腺腫:腫瘍の中に胸腺本来の形態が残っているもの
    • 胸腺がん:胸腺本来の形態が消失して悪性の細胞のみで腫瘍が形作られているもの
  • 胸腺がん悪性腫瘍であるが、胸腺腫は基本的には良性腫瘍である
    • 胸腺腫ではリンパ節や離れた臓器への転移遠隔転移)はあまり見られない
    • ただし、胸腺腫の場合は悪性度が様々であり、良性で腫瘍がゆっくり大きくなるタイプ、がんに近いような進行が早いタイプもある
  • 胸腺腫は100万人あたり1.5人と稀な病気であり、胸腺がんはさらに稀な病気である

胸腺腫、胸腺がんの症状

  • 胸腺の腫瘍自体の症状と、合併症による症状との2つに大きく分かれる
  • 腫瘍による症状
    • 初期は自覚症状がないことが多い
    • 腫瘍が大きくなることで、周囲の臓器を圧迫する、浸潤することによって以下の症状が現れる
      ・胸の痛み
      ・咳
      ・呼吸困難
      ・顔や首のうっ血むくみ上大静脈症候群
  • 合併症
    • 重症筋無力症
      胸腺腫がある人の30-50%で合併すると言われているが、胸腺がんでは通常合併しない
      ・診療における専門科は神経内科
    • 赤芽球ろう
      貧血の一種
    • 低ガンマグロブリン血症(グッド症候群、Good症候群)
      免疫力が低下する
      ・比較的まれな合併症である
  • 合併症による症状
    • 重症筋無力症
      まぶたが開かない
      ・ものが飲み込みにくい
      ・言葉が出にくい
      ・息苦しい
      ・ものが二重に見える
    • 赤芽球ろう
      ・息が切れる
      動悸がする
    • 低ガンマグロブリン血症
      感染症にかかりやすくなる

胸腺腫、胸腺がんの検査・診断

  • 血液検査
    • 腫瘍マーカー合併症の有無を調べる
  • 画像検査
    • 胸部レントゲンX線写真)検査
    • 胸部CT検査
    • 胸部MRI検査
  • CTガイド下針生検
    • 身体の外から腫瘍に針を刺して顕微鏡を用いて腫瘍の性状を調べる
    • 手術で腫瘍を全て取り切れそうならば、生検しないでいきなり手術を行うのが胸腺腫胸腺がんでは原則
  • その他にPET検査などで腫瘍の広がりを調べる
  • 胸腺腫は顕微鏡での見た目で悪性度が低いものから順に、A, AB, B1, B2, B3, C型に分類する
  • 病期ステージ)として、正岡分類やTNM分類という分類が使われ、いずれも1期が最も初期、4期が最も進行している(4期でも必ずしも末期というわけではない)

胸腺腫、胸腺がんの治療法

  • 腫瘍の進行度合い(ステージ)と全身状態から治療法が選択される
  • 主な治療
    • 手術
    • 放射線療法
    • 化学療法
  • 手術:基本的には中心となる治療
    • 腫瘍を全て取り切れて、かつ手術に耐えられる状態ならば基本的に手術が選択される
    • 胸骨(胸の真ん中の骨)を縦に切断して、腫瘍を周囲の脂肪と一緒に切除する方法がスタンダードである(拡大胸腺摘出術とよぶ)
    • 近年は初期の胸腺腫であれば、胸腔鏡手術で切除することもある
      内視鏡を利用した、傷口の小さくて済む方法である
      ・手術時間が長くなりやすい点、腫瘍の取り残しが起こりやすい可能性がある点など懸念はあり、拡大胸腺摘出術との優劣に関しては現時点で不明
  • 放射線療法
    • 手術後に再発予防として行われることがある
    • 手術ができない場合や再発例などで、痛みをやわらげる目的で行われることがある
    • 手術ができない場合に、化学療法(抗がん剤)と組み合わせて行われることがある
  • 化学療法
    • 進行期胸腺腫に対しては、根治には至らないもののそれなりに効果があることが多い
    • 胸腺がんについては、特に遠隔転移がある場合や手術が難しい場合に行われるが、奏効率はあまり良くない
  • 一般的には胸腺腫は進行が遅いが、中には悪性度が高い胸腺腫があり、進行が早いものもある
  • 5年生存率胸腺腫で約90%、胸腺がんで約55%という報告があるが、病期(ステージ)によって大きく異なる
  • 手術や放射線などで治療した後も、長年経過してから再発することがあるので、胸腺腫の場合には少なくとも10年、胸腺がんの場合には5年は定期的にCTMRIを撮影するのが一般的


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