2015.07.28 | コラム

こどもの夏の皮膚のトラブル①〔小児科に行く前に〕

あせもについて

こどもの夏の皮膚のトラブル①〔小児科に行く前に〕の写真

あせも(汗疹)は夏に起こるこどもの皮膚のトラブルの代表的な疾患です。子どもの皮膚は薄く、デリケートなためこまめなケアが必要です。できるだけ、皮膚を清潔に保っておくことが重要になります。

◆なぜできるの?

汗が出る穴が詰まって汗が出てこられなくなり、そこに炎症が起きることが原因です。

 

◆どうしたらいいの?

汗疹は家庭でのスキンケアで治すのが、基本です。ケアのコツは汗の出口をふさがないよう、肌を清潔にしておくことです。また、汗をかいたら、濡れたガーゼやタオルなどのやわらかい布でこまめに拭き取ってあげたり、シャワーで洗い流してあげましょう。

夏は気温も湿度も高いので、エアコンを上手に使って汗をかきすぎないように工夫したり、汗を吸収しやすい素材の服を着せる、汗をかいたら着替えをさせるなどが大事です。

 

◆病院を受診する目安は?

基本のケアをしても、なかなか治らなかったり、汗疹をかきこわして、そこから感染し、炎症を起こしてしまった場合などは病院で治療を受けましょう。

 

◆こどもに汗疹ができやすいのはなぜ?

汗疹ができやすいのは、おでこ・頭・首の周り・わきの下・背中・手足のくびれなどで、小さな赤い発疹ができます。

こどもの小さな体にも大人と同じ数の汗腺があります。また、気温や湿度が上がると、大人は体温を下げようとして発汗し、さらに自律神経の機能も働きます。でも、体が未熟なこどもはその調節を発汗でしかできません。そのため大人の2〜3倍もの汗をかくのです。

この大量の汗が、汗腺を詰まりやすくしているのです。

 

◆病院ではどんな治療をする?

汗疹は2種類あります。

①赤い色の汗疹=紅色汗疹(こうしょくかんしん)

通常汗疹といえば、このタイプのものを指します。熱感、かゆみが強く、かきむしると、湿疹の様に変化したり、アトピー性皮膚炎がある場合は皮膚炎が急激に悪くなることもあります。また、汗疹に細菌感染が合併して、「とびひ」や「多発性汗腺膿瘍(たはつせいかんせんのうよう)」となる場合もあります。

②白く透き通った汗疹=水晶様汗疹(すいしょうようかんしん)

これも汗疹ですが、真ん中が水滴のように透き通って見えます。痛みやかゆみはありません。

 

汗疹の種類で治療法が違います。水晶様汗疹は一過性のもので、放置しておいてかまいません。数日で消えてしまいます。紅色汗疹は炎症が強い場合には、非ステロイド系抗炎症薬やステイロイドの塗り薬を使うこともあります。また、全身のかゆみが強いときは抗ヒスタミン薬の内服や塗り薬を用いることもあります。

 

汗疹は、発症する前の予防や発症後の悪化を防ぐために、皮膚を清潔に保ってあげることが治療の基本です。

いくら薬を使っても、皮膚をケアしなければ繰り返してしまいます。皮膚を清潔に保つことは、汗疹から「とびひ」などの疾患への移行を予防する効果もありますので、しっかりとホームケアをしてあげてください。

お子さんには不必要な薬は使わないように心がけましょう。お子さんがかかる病気のほとんどは薬を使用せずに治ってしまうものばかりです。薬には効果的な面もありますが、副作用も付き物です。必要な時に必要な薬を使用するという習慣を身につけましょう。

 

【編集部注】

この記事は、「キャップスクリニック」のサイトで公開中の記事をもとに作成しています。

http://www.caps-clinic.jp/forparents

執筆者

白岡 亮平

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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