2015.07.18 | ニュース

粉瘤の中に皮膚がんができていた!病理診断で基底細胞がんを発見

イギリス50代男性の症例報告

from Case reports in dermatology

粉瘤の中に皮膚がんができていた!病理診断で基底細胞がんを発見の写真

粉瘤(アテローム、上皮のう腫)は皮膚のさまざまな部分にでき、多くは症状を起こすことも、急に大きくなることもありません。しかしごくまれな例として、粉瘤の中から皮膚がんの一種の基底細胞がんができた人が、イギリスの研究班から報告されました。

◆急に大きくなった粉瘤

粉瘤は普通、大きさ数mmから数cmの半球状のこぶのようなものとして現れます。

この50代の男性は、左肩に以前からあった袋状の病変が、最近数か月で急に大きくなったことで受診しました。病変の様子から、粉瘤である可能性が大きいと見られましたが、急に大きくなったことからほかの病気である可能性が疑われ、手術で切り取られたうえ、顕微鏡で観察する検査が行われました。

 

◆粉瘤の中に基底細胞がんがあった

検査の結果、切り取られた組織には粉瘤がありましたが、粉瘤の中にできた基底細胞がんが大きくなって、大きさ35mmほどの袋状の構造の大部分を占めていました

研究班は「[...]この症例は、進行性の成長が見られた場合、たとえ嚢胞が臨床上は良性のように見えたときでも、適切な外科的切除と組織病理学的評価が促されるべきであることを示す」と述べています。

 

粉瘤の中にできる皮膚がんはまれですが、がんの特徴のひとつが、急に大きくなることです。気になることがあったときには医師に相談しましょう。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Basal cell carcinoma arising from an epidermal cyst: when a cyst is not a cyst.

Case Rep Dermatol. 2015 Apr 28

 

[PMID: 26034477]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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