2015.07.24 | ニュース

ADHD治療薬が過食症状の治療に有効

ランダム化比較試験により検証

from JAMA psychiatry

ADHD治療薬が過食症状の治療に有効の写真

過食性障害は、摂食障害のひとつで、いわゆる「むちゃ食い」をしてしまう病気です。今回の研究では、過食性障害で見られる過食症状に対して、注意欠如・多動性障害(ADHD)の薬が有効である可能性が報告されました。

◆薬の容量3群(1日30、50、70mg)と偽薬群の計4群にランダムに分類

過食性障害患者514名を、ADHDの治療薬であるリスデキサンフェタミンメシル酸塩(日本では未承認、2015年7月時点)を1日あたり30mg、50mg、70mg使う3群と、偽薬群の計4群にランダムに振り分け、それぞれの群で過食症状の変化を評価しました。

 

◆50mgまたは70mgの投薬で偽薬と比べて、過食症状の軽減に効果あり

調査の結果、以下のことが見られました。

介入11週間の時点で、対数変換した1週間あたりの過食症状の日数は、偽薬と比べて、50mg/日(変化量の最小二乗平均-1.49[標準誤差0.066]、p=.008)と70mg/日(変化量の最小二乗平均-1.57[標準誤差0.067]、p<.001)で減少したが、30mg/日の治療群(変化量の最小二乗平均-1.24[標準誤差0.067]、p=.88)では減少は見られなかった。

4週間で過食症状を中断できた者の割合は、50mg/日(42.2%[p=.01])と70mg/日(50.0%[p<.001])と比べて、偽薬群(21.3%)が低かった。

1日50mgまたは70mgの薬を投与すると、偽薬と比べて、1週間あたりの過食症状の日数は減少したという結果でした。

また、4週間で過食症状がなくなった患者の割合も治療群で高い結果となりました。

 

過食性障害の治療はいまだ模索の途上にあります。今後の研究に期待したいですね。

 

【訂正7/24】

「過食性障害」を「過食症」とする誤りがあったため、用語および関連する記述を訂正しました。

執筆者

MT

参考文献

Efficacy and safety of lisdexamfetamine for treatment of adults with moderate to severe binge-eating disorder: a randomized clinical trial.

JAMA Psychiatry. 2015 Mar

[PMID: 25587645]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

▲ ページトップに戻る