PTSDが10年以上見逃されていた63歳の男性
心的外傷後ストレス障害(PTSD)は、心の傷が原因で、後になって悪夢やフラッシュバック(つらい記憶を突然思い出す)などさまざまな症状が起きる状態です。原因になった出来事から数か月以上経っても症状が続いていることがあり、うつ病などが同時に起こることもあります。アメリカの研究者から報告された63歳の男性は、30年以上前の出来事によるPTSDに苦しんでいましたが、薬物治療により症状が改善しました。
◆1976年の出来事から、1996年に重い症状
この男性はエチオピア出身で、エチオピアでは評論家でしたが、1976年に友人と家族を目の前で撃たれたのち、エチオピアから逃れてアメリカに渡り、皿洗いや守衛の職を転々としていました。
1996年から、突然数日間どこかに行ってしまい、後からはどこで何をしていたか思い出せなくなってしまう、「とん走」と記憶障害の症状が現れました。
◆薬物治療で改善
2012年に、ホームレスシェルターに住んでいたとき、記憶障害の症状で精神科を受診しました。フラッシュバック、悪夢、受動的希死念慮などの症状があったことからPTSDおよびうつ病と診断され、セルトラリン、プラゾシンという薬物の治療を受けました。
その結果、とん走の症状はなくなり、社会的な生活を送れるようになり、ホームレスシェルターから出て自分の住居に移ることができました。
この報告の著者は「治療を受けたことのない難民に対しては、移住が何年も前だったとしても、PTSDと
PTSDは時間とともに治まる場合もありますが、重い症状が長期間残ることもあります。治療には薬物のほか、いくつかの心理療法などがあります。医師はもちろん、周りの人が気付いて治療までの助けになることも大事なのかもしれません。
執筆者
Psychopharmacologic treatment of dissociative fugue and PTSD in an ethiopian refugee.
J Clin Psychiatry. 2015 Jun 9 [Epub ahead of print]
[PMID: 26115334]
※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。