2015.06.26 | ニュース

乳がんには手術しなくていいものもある?DCISの治療と生存率の関連

アメリカ5万例の解析から
from JAMA surgery
乳がんには手術しなくていいものもある?DCISの治療と生存率の関連の写真
(C) sakura - Fotolia.com

乳がんの中には死亡につながりにくいものもあり、特に非浸潤性乳管癌(DCIS)と呼ばれるタイプなどは、状況によっては必ずしも手術が必要とは限らない考えられています。アメリカの治療例を集めた大規模データベースの解析から、DCIS全体としては手術をした場合のほうが生存率が高い一方で、悪性度が低いものに限っては手術をした場合としなかった場合で差がなかったことが報告されました。

◆5万例以上のデータを解析

研究班は、DCISと診断された57,222例についてのデータから、手術をしたかしなかったか、またDCISの悪性度によってその後の乳がんによる死亡率、またはほかの死因もあわせた死亡率に違いがあるかどうかを統計解析しました。

 

◆低グレードでは有意差なし

解析から次の結果が得られました。

この研究で同定された57,222例のDCISのうち、1,169例(2.0%)が手術なしで管理され、56,053例(98.0%)に手術を含む管理がなされた。診断から中央値72か月のフォロー期間に、乳がんによる死亡は576人だった。重み付けした乳がん特異的10年生存率は非手術群で93.4%、手術群で98.5%(log-rank検定でP<0.001)だった。

中等グレード、高グレードのDCISに対する重み付けしたハザード比は[...](低グレードでハザード比0.85、95%信頼区間0.21-3.52、中等グレードでハザード比0.23、95%信頼区間0.14-0.42、高グレードでハザード比0.15、95%信頼区間0.11-0.23)、全死因死亡率についても似た結果が得られた。

手術をしないで治療されたのはDCISのうち2%で、診断から10年以内の乳がんによる死亡は手術をした場合のほうが相対的に少なくなっていました。悪性度の低いDCISに限って比較すると、手術をした場合としなかった場合の乳がんによる死亡率には統計的に差がなく、悪性度が中等度の場合、高い場合には手術をした場合のほうが低くなっていました。

 

この研究では、手術をするかしないかの判断に、その後の死亡率とも関係する要因が関わっていた可能性が否定できません。ランダム化試験などの手法で条件を揃えた比較ができれば、よりはっきりとした結果が得られるかもしれません。

なお、乳がんの早期発見・早期治療の意義を話題にした研究を以前にも紹介しています。興味のある方はあわせてご覧ください。

「死亡率を下げるスクリーニング検査は「39種類のうち4種類」」

http://medley.life/news/item/553f428ce5425fdb00173543

マンモグラフィーに意味はあったのか」

http://medley.life/news/item/5543561b05c72afe00009147

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Survival Benefit of Breast Surgery for Low-Grade Ductal Carcinoma In Situ: A Population-Based Cohort Study.

JAMA Surg. 2015 Jun 3 [Epub ahead of print]

 

[PMID: 26039049]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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