2015.09.30 | ニュース

非浸潤性小葉がんから進んだ乳がんは年間どれぐらい発生するのか?

アメリカ1,060人を最大29年間追跡
from Journal of clinical oncology : official journal of the American Society of Clinical Oncology
非浸潤性小葉がんから進んだ乳がんは年間どれぐらい発生するのか?の写真
(C) karelnoppe - Fotolia.com

乳がんの検査で、非浸潤性小葉がん(LCIS)という、周りの組織に広がっていない小さいがんが見つかることがあります。がんとして広がっていく可能性について、長期間の追跡調査の結果が報告されました。

◆LCISの患者を29年追跡

LCISは、浸潤性小葉がんとして周りに広がり進行していく可能性もあると考えられますが、その危険が小さいと判断された場合には治療せず経過観察されることもあります。

研究班は1980年から2009年にかけて、LCISと診断された患者を対象として、その後新たに乳がん発症するかどうかを追跡調査しました。治療を行うかどうかの選択に研究者は介入せず、経過観察された場合、化学療法を受けた場合、手術を受けた場合が比較されました。

もともと見つかっていたLCISが変化した場合も、別のがんが発生した場合も含め、もとあったLCIS以外の乳がんが見つかった場合すべてを数えました。

 

◆およそ7年で1,000人中150人

対象となった1,060人の患者について、次の結果が得られました。

中央値81か月(範囲6か月から368か月)のフォローアップの間に、150人の患者に168件の乳がんが発症し(63%は同側、25%は対側、12%は両側)、優勢を占める組織型はなかった(非浸潤性乳管がん35%、浸潤性乳管がん29%、浸潤性小葉がん27%、その他が9%)。乳がん発症率は予防化学療法を受けていた女性で有意に少なかった(10年間の累積リスクが予防化学療法群で7%、予防化学療法なしの場合で21%、P<0.001)。

追跡期間は対象者の半数で81か月以上でした。その間、LCISから周りに広がるようになったものや、LCISと同様に周りに広がっていない種類の非浸潤性乳管がん(DCIS)を含め、乳がんが新しく診断された人は150人でした。化学療法を受けていた人のほうが乳がんの発生は少なくなっていました。

研究班は「非浸潤性小葉がんのある患者の間で、年率2%の乳がん発症が観察された」とまとめています。

 

マンモグラフィーなどの検査により、かなり早い段階の乳がんを発見することも可能になっていますが、リスクが小さいと見られる場合には、この研究でもあったように、経過観察とされることもあります。その後の経過を予測するために、こうした追跡データが参考になるかもしれません。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Lobular Carcinoma in Situ: A 29-Year Longitudinal Experience Evaluating Clinicopathologic Features and Breast Cancer Risk.

J Clin Oncol. 2015 Sep 14 [Epub ahead of print]

[PMID: 26371145]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。


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