精神疾患患者を支える人に、メンタルケアの効果を検証

統合失調症などの精神疾患を持つ人は、しばしば家族や友人の支援を受けながら生活しています。そのような場合、介護者に大きな負担がかかることもありますが、介護者に対するケアの手段は、必ずしも確立されていません。これまでに精神疾患介護者に対するケアの効果を調べた研究の検証が行われ、心理教育、支援グループの介入に良い効果の報告があったとまとめられました。
◆文献から検証
研究班は、過去の文献から重症の精神疾患を持つ人の生活を支持する介護者に対して行われるケアの効果について調べたものを集め、内容を検証して統合しました。
◆心理教育、支援グループに効果あり
次の結果が得られました。
21件のランダム化対照試験がレビューの対象となり、それらのうちで計1,589人の介護者が対象とされていた。介護者の介護経験は、心理教育(標準化平均差-1.03、95%信頼区間-1.69から-0.36)、支援グループ(標準化平均差-1.16、95%信頼区間-1.96から-0.36)の介入の終了時には改善していたことを示唆するエビデンスがあった。
集まった論文のうちでは、心理教育、支援グループの介入によって、介護者の経験に良い効果があったことが示されていました。
研究班は「介護者に対する介入は重症の精神健康上の問題を持つ人に対する集中的なサービスの一部として考慮されるべきである」と結論しています。
この例に限らず、家族など少数の人に重い責任を押し付けることなく、助けが必要な人を社会全体で支えるという考え方が求められているのかもしれません。
執筆者
Interventions to improve the experience of caring for people with severe mental illness: systematic review and meta-analysis.
Br J Psychiatry. 2015 Apr
[PMID: 25833867]
※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。